研究紀要第71号 「学校の経営過程における現職研修のあり方に関する研究 第1年次」 -014/126page
学校の研修組織に対する満足度
問 21 あなたは,あなたの学校の現在の研修組織をどう考えていますか。(該当全項目選択)
図−9 N= 308
< 考 案 >
全体的にみると,1(丸囲み数字)の「……助け合う態勢づくりの組織でありたい……」が約78%,2(丸囲み数字)の「全員で話し合って……」が約43%,5(丸囲み数字)の「協力態勢もできてよい組織……」が約28%,7(丸囲み数字)の「適切なリーダーがいてよい組織……」が37%,9(丸囲み数字)の「内容・方法によって変わる組織でもよい……」が約32%で,3(丸囲み数字)「校長,教頭の考えなので仕方ない……」4(丸囲み数字)「係だけやればよいから,都合のよい組織……」6(丸囲み数字)「分担にかたよりがあり不適当……」,8(丸囲み数字)「年齢順の組織なので同じ歩調で進みにくい……」などは,約1〜2%である。1(丸囲み数字)については,“助け合える態勢でありたい”“指導の方策が行きわたる組織でありたい” と,ほとんどの教師が,研修組織の改善を願っていることを示している。2(丸囲み数字)については,“十分に納得できる組織でありたい”“話し合い理解し合える手続きを取って欲しい”,5(丸囲み数字)については,“個人の特性が十分生かされていない”“協力の態勢ができていない”,7(丸囲み数字)については,“校内に適切なリーダーがいて欲しい”と,研修組織の現状に不満を感じている教師が多くいることを示している。
9(丸囲み数字)については,“研修内容・方法によって組織を変えてもよい”と,研修組織を柔軟に考えている教師がいることを示している。
このようにみてくると,現状の研修組織に対応しながらも,現実には,さまざまな願望や不満を抱いていることがわかる。
このような個々の問題点の要因として,研修組織を編成するときに,十分配慮をした手続きをふまえていないのではないか,校内研修を推進していくうえで,組織が十分機能していないのではないか等が,主として考えられよう。
このような問題点を改善するには,
○ 学校経営過程の全体の中で,校内研修のねらい・内容・方法等に合った研修組織を構想すること。
○ 自己啓発に基づく研修意欲がいっそう高まるように,教師一人一人の特性や希望を十分考慮して,研修組織を作ること。
○ 意欲的に校内研修に取り組み,相互に啓発し合いながら協働態勢を作り,校内研修を充実させていくために,研修分担を明確にすること。
○ 校内研修の充実感を深めながら校内研修が推進できるように,場に応じたリーダーの研修を多様に工夫すること。
○ 校内研修評価計画に基づいて,研修組織についての評価も意図的に行い,工夫改善すべき具体事項を明らかにすること。
○ 学校の教育課題を解決し,児童を変容させるには,校内研修のねらい・主題・内容・方法・組織・計画・実践・評価等が一体となることが大切であることを,機会をとらえて研修すること,などが考えられよう。