研究紀要第71号 「学校の経営過程における現職研修のあり方に関する研究 第1年次」 -015/126page

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 2.  中学校における問題点と改善の方向

  学校の研修課題を決定する手続き方法の実態
問 1 あなたの学校は,どのような手続きで研修課題を決めていますか。
 図−10                         N= 113
図−10

 

考 察
 全体的には,2(丸囲み数字)の「研修主任が原案を提示し……」が約55%で最も多く,次いで4(丸囲み数字)の「現職委員会が原案を提示し……」が約42%となっており,2(丸囲み数字)と4(丸囲み数字)を合わせると約97%に達している。その他については,いずれも約2%と少ない。

 この数値からみるかぎりにおいては,県内の大半の中学校では,研修課題を決める際に研修主任か現職研修委員会のどちらかが原案を提示し,それをもとに全員で協議して決めるという手続き方法をとっていることがわかる。

 また,規模別でも2(丸囲み数字)と4(丸囲み数字)の割合は,小規模校で約57%−約41%,中規模校で約49%−約49%,大規模校で約63%−約29%となっており,中規模校をのぞいては,いずれも2(丸囲み数字)の方が多くなっているが両者の合計では小,中,大規模校ともに90%を超える高い比率になっている。ここでの特徴としては,大規模校において2(丸囲み数字)が4(丸囲み数字)の約2倍になっていることで,特に大規模校では,研修主任が原案作成者になる学校が多いことを示している。

 更に,少数ではあるが,1(丸囲み数字)の「校長,教頭の原案どおり……」が小規模校,大規模校にみられること,3(丸囲み数字)の「原案を持たず……」が中規模校,大規模校にみられることで,このことは研修推進上問題であり,早急な改善が望まれる。

 以上みてきたように現状実態においては大きな問題はないようにもみえるが,全職員の確かな共通理解を図り,一人一人の自己啓発的な研修意欲を高めるという視点から考えると,4(丸囲み数字)の手続き方法をとっている学校がいずれも50%以下であることは問題点として指摘できよう。

 このことは,研修推進の中枢ともなるべき現職研修委員会が十分に機能していないのではないか。さらに,校内研修に関する企画・運営等については研修主任まかせになっているのではないかなどが要因となっていると考えられる。

 したがって,改善の方向としては,
○ 現職研修委員会のはたらきを見直し,研修推進上の企画・運営等に関しては,現職研修委員会が中心となって進めながらも全員の考えを取り入れるようにする。
○ 現職研修委員会の構成員の役割を責任分担し,それぞれが校内研修の一端をになって意欲的に活動できるようにする。などが考えられよう。


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