研究紀要第71号 「学校の経営過程における現職研修のあり方に関する研究 第1年次」 -016/126page

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  校内研修計画時,共通理解が図られなかった場合の対応
問 3 校内研修の計画を立てるとき,全職員の共通理解が図られなかった場合,あなたの学校ではどうしていますか。
 図−11                         N= 113
図−11

 < 考 察
 全体的には,3(丸囲み数字)の「共通理解が図られるまで時間をかけて話し合っている」が約58%で最も多い。

 ついで,4(丸囲み数字)の「校内または外部の指導者から指導を受けたり調べたりして再度話し合い……」が約17%となっている。この両者を合わせると約75%となることから,多くの学校では校内研修の出発点でもある研修計画時において何とかして全職員の共通理解を図ろうとするねばり強い努力をしていることが感じられる。

 しかし,一方では2(丸囲み数字)の「……計画を変えるようにしている」約14%,1(丸囲み数字)の「共通理解が図られないままの計画で……」約5%のように,安易に計画を変更したり,共通理解を図ることに消極的になったりしているともみえる学校もあることは共同研修を進める上から問題であろう。

 次に,規模別でみてみると,小・中・大規模校ともに3(丸囲み数字)のような対応のし方が,それぞれ約48%,約72%約54%になっており,ここでは特に中規模校の比率が高いことが特徴である。また,小規模校の約22%の学校が,共通理解が図られないときは計画を変えるようにしていると回答しており,それが4(丸囲み数字)よりも高くなっていることは見のがせない問題である。小規模校こそ職員のまとまりはよく,共通理解を図る条件は整っているのではないのだろうか。

 以上のような現状実態をみると,共通理解が図られなかった場合の各学校の対応の仕方が浮きぼりにされているように思える。しかし,現実的な問題としての共通理解を図ることのむずかしさの要因には,計画案そのものが学校の実態に即さず,校内研修のねらいである課題の解決をめざしたものになっていない。さらに,それが,教師一人一人のニーズに合致していない。また,共通理解を図る場が全体協議会のみになっている,話し合いに参加する教師一人一人の意識が低い,などがあるように思われる。

 したがって,改善の方向としては,
○ 提案内容は日常の教育実践から発生した学校課題と直結し,しかも,教師一人一人の考えや要求を十分に集約したものに改善する。
○ 日常的な話し合いの場において校内研修の意義やその重要性についての意識の高揚を図る。
○ 種々の話し合いの仕方を取り入れた協議会の効率的な運営の仕方を工夫する。
○ 学校内外の指導者の指導による阻害要因の発見,観点変更。などが考えられよう。


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