研究紀要第71号 「学校の経営過程における現職研修のあり方に関する研究 第1年次」 -019/126page

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  授業準備時におけるエ夫・改善意欲態度
問 13 授業の準備をしているとき,資料や教材・備品の不足に気がつきました。あなたは,そのような場合どうしていますか。
 図−14                         N= 113
図−14

 < 考 察
 全体的には,1(丸囲み数字)の「時間の許す限りよいものをっくって授業……」が約37%,4(丸囲み数字)の「現在あるもので間に合わせて授業……」が31%,3(丸囲み数字)の「個人で購入,工夫して授業……」が約27%の順位であり,1(丸囲み数字)からみれば,前向きの姿勢で授業に取り組んでいると考えられる。しかし,4(丸囲み数字)の「現在あるもので間に合わせて授業……」が,ほぼ同数の回答であること,最も期待される3(丸囲み数字)の「自分で購入したり工夫したりして授業……」が28%と低い結果から考えれば,工夫改善をめざす意欲態度が十分であるとはいえないようである。したがって,この回答結果からは,改善意欲はみられるが,資料や教材,備品がなければないですませてしまう傾向にあることがうかがわれる。

 年代別における問題点は,2(丸囲み数字)の「他の先生のものを使用する……」が,わずかながら50代にみられること。1(丸囲み数字)の「時間の許す限りよいものをつくって授業……」において,30代が約32%といちばん低いことである。30代といえば,教師生涯においては最も充実する時期であるが,4(丸囲み数字)の「現在あるもので間に合わせて授業……」が約38%と高く,最も期待される3(丸囲み数字)の「個人で購入,工夫して授業……」は約24%と他の年代と比べて低いのはやはり問題点といえよう。また,4(丸囲み数字)の「現在あるもので間に合わせる」において,50代が約41%と最も高いことも問題点として指摘できよう。

 こうした問題点の要因は,自己啓発意識の低さから起ってくるものと考えられる。ただこのことは,教員個人の使命感の問題だけに,明確な改善点をみつけることは難しいことである。教員としての自覚をどう図り,改善意欲をどう高めていけばよいかを,学校経営全体から具体化していく必要があろう。

 したがって,設問の意図における改善の方向は,
○ 各校の現有備品の整理と活用しやすい配置の工夫をするとともに,備品の長期的充実に努力すること。
○ 教科部会による教材研究と教材教具の共同開発をする校内体制を整えること。
○ 他校との交流や教育機関との連携を密にして相互に利用し合うようにすること。
○ 自作教材・教具の累積活用に努力すること。
○ 教科主任のリーダー意識の高揚と,若い教師のアイディア等を積極的に取り上げる研修態勢づくりに,更に努力すること。
等が考えられよう。


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