研究紀要第71号 「学校の経営過程における現職研修のあり方に関する研究 第1年次」 -025/126page
校内研究の計画時,共通理解が図られにかった場合の対応
問 3 指定研究などの計画を立てるとき,全職員の共通理解が図られなかった場合,あなたの学校ではどうしていますか。
図−20 N= 89
< 考 察 >
全体の結果からみると,研究計画立案時に全職員の共通理解が図られなかった場合,3(丸囲み数字)の「共通理解が図られるまで話し合う……」が最も多く約66%,4(丸囲み数字)の「外部の指導者からの指導を受けたり調べたり……」が約20%で,他の項目は5%以下である。3(丸囲み数字)4(丸囲み数字)の合計が約86%であることから,学校の体制や雰囲気は,共通理解を図ろうとする意識の点から望ましい傾向であろう。しかし,3(丸囲み数字)の実態から一歩前進した姿の4(丸囲み数字)まで高まった中で問題の解決と共通理解が図られることが大切と考えられる。規模別からみると,3(丸囲み数字)が約74〜63%で,中規模校が高い反面,最も期待される4(丸囲み数字)は大規模校が約22%と高いのは,規模が大きくなると,自校での意見の集約が困難な場合が多いためと考えられる。
一方,中規模校では,わずか2名ではあるが,1(丸囲み数字)の「そのままの計画で進める……」と回答していることは,全職員の共通理解に立って,研究が推進され,自己啓発的に研究が実践されることを期待する点からも,適切な対応とは思われない。
年代別に考察すると4(丸囲み数字)が最も高いのは40代で約33%,次に50代の約21%である。これは,これらの年代は研究等の中心的な立場にあり,その必要感からであると思われる。(資料略)
男女別に比較すると,4(丸囲み数字)が女子教員約39%,男子教員約17%と女子教員が2倍強である。一方,1(丸囲み数字)は女子教員が約15%である。このことから,年代別の結果と合わせてみると,30代,40代の女子教員の意識は両極に分かれていることが読みとれる。(資料略)
これらの要因には,計画にもとづいて,共通理解を図るための会議の進め方の不十分さ,指導を受けたり,調べたりする意識の希薄さ,指定研究などを教師個々の問題としてとらえていない。などが考えられよう。
したがって,改善の方策として,
○ 研究の基本となる理論について,共通理解が得られる方策を考えて研修する。
○ 指導を気軽に受ける態勢をつくる。
○ 文献や資料を自分で収集する方法を工夫する。
○ 研究計画の立案に対するモデルを示す。
などが考えられよう。