研究紀要第71号 「学校の経営過程における現職研修のあり方に関する研究 第1年次」 -027/126page

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  授業準備時におけるエ夫・改善意欲態度
問 13 授業の準備をしているとき,資料や教材,備品の不足に気がつきました。あなたは,そのような場合どうしていますか。
 図−22                         N= 89
図−22

 < 考 察
 全体的にみると,1(丸囲み数字)の「時間の許すかぎりよいものを……」が約33%,3(丸囲み数字)の「個人で購入したり工夫して……」が約32%であり,望ましい傾向にある。一方,4(丸囲み数字)の「現在あるもので間に合わせる……」が約26%と工夫改善の意欲が低いと思われる教師が約 1/4 存在しており,更に,全回答者の中で1名ではあるが,2(丸囲み数字)の「他の先生のものを使用……」と回答していることは問題であろう。

 規模別では,小規模校が3(丸囲み数字)約42%で最も高く,積極的姿勢がうかがわれる。4(丸囲み数字)の回答は小規模校が最も低く約17%で,中・大規模校では約27%である。これから判断すると,規模が大きくなると工夫改善の意欲が低くなる傾向にあると思われる。(資料略)

 年代別では,1(丸囲み数字)の「時間の許すかぎり……努力する」は20代の教師が約45%と最も高く,30代,50代の教師は約33%,40代の教師は25%である。期待される3(丸囲み数字)は30代が約38%と最も高く,他の年代は約30%前後である。1(丸囲み数字)3(丸囲み数字)を合わせて考えてみると若い教師層が70%台と,意欲が高く積極的な工夫改善の姿がうかがわれる。これに対し,50代約66%,40代約54%であることや,4(丸囲み数字)の「現在あるもので間に合わせる」が40代約33%で最も高く,2(丸囲み数字)の回答者1名もこの年代である。更に,40代の教師は設問 12の1(丸囲み数字)の「校務分掌や学級事務処理に‥‥‥」の回答が約63%であることなどから,この年代は,校務の多忙が原因とも考えられるが,改善意欲が低いのは問題であろう。

 こうした問題の要因は,自己啓発意識の低さから起因していると思われる。このことは,教師個々の使命感の問題だけに,明確な改善点をみつけることは難しいことである。教師としての自覚をどう図り,改善意欲をどう高めていけばよいかを学校経営全体から具体化していく必要があろう。

 したがって,改善の方向としては,
○ 各校の現有備品の整理と活用しやすい配置の工夫をするとともに,備品の長期的充実に努力する。
○ 教科部会等による教材研究と教材教具の共同開発を促す校内体制を整える。
○ 自作教材教具の累積・活用に努力する。
○ 校務分掌の量を考えて分担し,授業の準備時間を確保する。
○ 教科主任のリーダー意識の高揚と,若い教師のアイディア等を積極的に取り上げる研究態勢づくりに.更に努力する等が考えられよう。


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