研究紀要第71号 「学校の経営過程における現職研修のあり方に関する研究 第1年次」 -033/126page

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  研修で意欲・充実感を持つ場面
問 22 あなたは,日常の研修のどんな場面で意欲や充実感を持ちますか。

(1)校内研修会や研究公開
 イ 自分の問題を持って参加し,それが解決できたとき。
 ロ 他の先生の授業を見て役にたったと思ったとき。
 ハ 悩み多い生徒指導の研修に参加し指導に自信を得たとき
(2)校内における個人研修やサークル研修
 イ 生徒指導の研修で生徒の扱い方がわかったとき。
 ロ 個人研修の結果が他の先生の授業などに生かされたとき。
 ハ 同教科の先生で協力して深い教材研究ができたとき。
 ニ 個人研修したことがそのまま授業に役だったとき。
 ホ 心をひとつにして話し合いができ,役にたったとき。
(3)校内主題研修以外の現職研修
 イ 先輩や実践者の努力に基づく生きた話が聞けたとき。
 ロ 職員の共通理解を図りながら意見がまとめられたとき。
 ハ 自分の研修したことが,他の先生の役にたったとき。
 ニ 授業研究に関する話し合いが十分にできたとき。
 ホ コンピュータ等,いま必要なことの研修ができたとき。
(4)校外研修会
 イ 今まで知らなかった広い知見が得られたとき。
 ロ 先進校の研究にふれ自己啓発されたとき。
 ハ 全国大会や県大会等に参加し,優れた授業を見たとき。
 ニ 勉強したいと思う内容の研修会に参加できたとき。

 < 考 察
 回答は,4つの項目の中から該当するものをいくつか選び,それぞれについて,具体場面に即して自由記述したものである。上に示したのは,小学校,中学校,高等学校の回答の中から,特に多いものだけ選び,項目ごとにまとめたものである。

 教師が,日常のいろいろな研修の機会の中で,以前よりも意欲的になったり,研修してよかったという充実感を持つのはどのような場合か,回答を総合的にとらえると,まず1つは,(2)のハ「同教科の先生で協力して……」ホ「心をひとつにして……」(3)のロ「職員の共通理解……」ニ「授業研究に関する話……十分に……」など,教員相互のコミュニケーションをうまく図りながら目的を達し得たときの充実感である。

 2つめは,(2)のロ「個人研修の結果が……生かされたとき」ニ「個人研修したことが……授業に役だったとき」,(3)のハ「自分の研修したことが…他の先生に役だったとき」など,研修の結果が,自分自身や他の教員のために役だったという満足感である。

 3つめは,(1)のイ「自分の問題を持って……解決できたとき」(2)のイ「……生徒の扱い方がわかったとき」(3)のイ「先輩や実践者…話が聞けたとき」また(4)のイロハののように,「広い知見が得られた。自己啓発された。優れた授業を見た」など,今まで自分が持ち得なかった新しい知識・内容に接することにより得た喜びや充実感である。

 4つめは,(1)のハ「悩み多い生徒指導……自信を得たとき」(3)のホ「コンピュータ等……研修できたとき」(4)のニ「勉強したい研修会に参加……」など,現在の学校が当面する今日的課題の解決が得られるような研修会に参加できたときの充実感である。

 そして,以上4つのことは,裏を返せば,教員が日常,意欲や充実感を持って研修を進めていくための一つの方向を示唆するものであると受けとれよう。したがって改善の方向としては,
○ 研修にあたっては,教員相互のコミュニケーションに基づいて,共通理解を図る手だてを学校の実態に即して工夫する必要がある。
○ 自己研修の結果を教員相互に交換し合う方途を具体化し,お互の研修結果を授業の中で実践し反省し合うようにする。
○ 各種研修会の内容に,できるだけ先導的試行の要素をとり入れる努力をする。
などが考えられるであろう。


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