研究紀要第71号 「学校の経営過程における現職研修のあり方に関する研究 第1年次」 -034/126page

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  21世紀へ向けての現職研修の展望
問 23 今後の教育を展望し,21世紀の社会を生きぬく児童・生徒を育成することをめざしたとき,あなたは,現職研修の視点・内容を今後どこにおくペきだと考えますか。最も必要と考えられるものを3つ選んでください。
 図−28                         N= 510
図−28

 < 考 案
 教育課程審議会は,昭和61年10月に「教育課程の基準の改善に関する基本方向」の中間まとめを発表し,改善作業が現在進行中である。また,臨時教育書議会もすでに最終答申を終了しており,この設問の選択肢にかかわる内容が,新聞,雑誌等でもたびたび報道されている。このような時期に各学校の教員が21世紀を展望して,現職研修のあり方をどう考えているかを追求することは,今後の現職研修の方向を見定めるうえで極めて意義あることであろう。

 回答を見ると,各校種とも「自己教育力育成にかかわること」や「個性の重視や創造性の育成にかかわること」を上位にあげているが,これは教育課程審議会の改革の骨子の中でも強調していることであり,今後は知識の注入主義から脱却して児童・生徒の個性を重視しながら,児童・生徒自らが主体的に学ぶ意志,能力,態度の育成が必要であるという認識にたつ教員が多くなっていることを示しているといえよう。また,小・中学校では,「情操,道徳性の育成……」が2,3位になっているが,現在の生徒指導のむずかしさの反省にたって,今後もこの面の一層の研修の必要性を考えているものと受けとれよう。次に「教科指導を通しての人間形成……」があげられているが,現在生徒指導や教育相談に関する知識が浸透するに伴ない,教科指導の中での教師と児童・生徒及び児童・生徒相互のかかわり方を重視し,研修を深める必要性を感じているためと思われる。これが高等学校では第1位になっているが,校種を問わず“教科指導−即−豊かな人間性の育成”の考え方が広まることを期待したい。そのほか「国際人育成」「生涯学習」「情報処理能力」等が下位にあるが,これは不必要という意味ではなく,前述の内容に含めて解決できるものと解したい。


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