研究紀要第71号 「学校の経営過程における現職研修のあり方に関する研究 第1年次」 -035/126page

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IV 第1年次研究のまとめ(調査研究総括)
  − 自己啓発に支えられた校内研修の現状と課題 −

 <計画の段階>
1. 校内研修(校内研究)に対する必要性や実践意欲の程度

 「 現 状
小学校
○ 研究協議会への参加態度の回答からみると,実践意欲が十分にあるとはいえない現状のようである。しかし,研修分担決定後は,工夫し話し合いながら努力していこうとする意識傾向にあることがうかがえる。
● 要因としては,校内研修への望ましい参加のあり方,理解の不十分さにあるためと思われる。
中学校
○ 参加態度面,研修分担決定後の態度面での回答結果を上記小学校と比較してみると,校内研修に対する期待感や意識がさらに低いことがうかがわれる。
● 要因としては,校内研修内容と授業との結びつきの不明確さ,研究協議会参加前の準備不足,校内研修に対する自覚不足等が考えられる。
高等学校
○ 反省に基づき資料を準備して参加するという回答が少ないこと,言われたことを理解し,研究には協力するという回答が約半数であることから考えれば,参加意欲は低い現状といえよう。
● 要因としては,校内共同研究推進の機会が少なく,したがって必要性や実践意欲の程度も低い結果が表れたものと思われる。

 < 課 題 > 改善の方向
○ 校内研修の全体構想を明らかにするとともに参加の仕方について具体的に工夫改善することが必要である。
○ 教職員の期待や要望を取り上げる配慮をするとともに,各自の研修(研究)分担や方法等について具体的に確認する場を設定する必要がある。
○ スクールフォーカスト研修の考え方の理解を深め,全校的な校内研修(研究)態勢づくりに努力する必要がある。

2. 研修課題や研究主題の全員協働・共通理解に基づく設定と個人の参加意欲

 「 現 状
小学校
○ 設定に際しては,全員で話し合って進めていることはわかるが,十分な共通理解が得られないまま進めてしまう傾向がみられる。
● 要因としては,設定過程の協議で研究の内容・方法が不明確なまま推進するためと考えられる。
中学校
○ 研修課題決定の手続き方法面では,研修主任依存傾向もみられる。また,研修計画時に,共通理解が図られないような場合,安易に計画を変更したりそのまま進める傾向がみられる。
● 要因としては,現職研修委員会が十分に機能していないこと,校内の研究協働態勢が不十分なこと等が考えられる。
高等学校
○ 共通理解のもとに研究を進めようという意欲はみられるが,協働意識のもとに,個人が積極的に参加するといった態度は少ない現状である。
● 要因としては,協働で主題研究推進をするなどの体験不足,教職員相互の依存的体質,設定までの手続き・方法の不備などが考えられよう。

 < 課 題 > 改善の方向
○ 各自の考えを大切にして,それを生かし,まとめていくといった協議会の進め方を工夫改善することが必要である。
○ 現職研修委員会の仕事内容を明確にするとともに,主題設定までの手続きを確立する必要がある。
○ 研究主題にかかわる基本的理論を明確にし,共通理解を図る校内研究態勢づくりに工夫改善を図ることが必要である。


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