研究紀要第71号 「学校の経営過程における現職研修のあり方に関する研究 第1年次」 -038/126page
に参加し自分の授業に生かそうとする意欲がみられる回答が多かったが,それを全体に広め,働きかけるという点からみると問題があるといえよう。
● 要因としては,学校全体,他の先生方のためにもという協働意識の希薄さと高等学校における教科重視・教授重視の考え方にあるように思う。< 課 題 > 改善の方向
○ 学校経営全般から,研修に対する自覚を高める配慮と意欲を高める運営のしかたの工夫・改善が必要である。
○ 授業に生きて働く研修内容になっているかどうかの検討と研修成果の活用法について,更に工夫し改善することが必要である。
○ 校外研修の伝達の場と機会を意図的に位置づけ,相互啓発と研修内容の共有化を図る等の工夫改善が必要である。<評価の段件>
1. 研修資料の収集・活用の現状と個人の意欲「 現 状 」
○ 回答者の過半数が「係からの提供資料をつづり必要なときに活用」と回答し,自ら主体的に,「研修結果を残し,効果を確めて活用−研修記録ノート,実践反省ノートを残して……」といった態度は少ない現状であるとうかがえる。また,係からの提供資料の活用は,年代の若い層ほど高い回答であること,「個人研修はやっていない,生かそうとは思わない」の回答も若い層に多かったこと等は問題であろう。
小学校・中学校
● 要因としては,資料の収集・活用の方法や実践体験の不足,活用意識の低さにあるのではないかと思われる。○ 資料収集・活用の現状は小・中学校と同傾向である。個人研修の成果を校内研究に生かそうとする努力はみられるが,「積極的に生かしていない,個人研究はやっていない」という回答もあることは問題であろう。
高等学校
● 要因としては,校内研究にかかわる個人研究の促進不足,資料活用の場の設定と重要性の認識不足等が考えられる。< 課 題 > 改善の方向
○ 校内研修を推進する過程で,資料の収集・活用の方法とあり方についての事例研究会等の工夫・改善が必要である。
○ 校内研修態勢づくりの一環として,個人研修資料の収集と活用の奨励を意図的に実施する等の工夫・改善が必要である。
○ 学校体制として,個人研究の内容や推進状況の把握に努め,リーダーの指導助言を通して推進するなどの工夫・改善が必要である。2. 各校における校内研修評価・活用の現状と個人の意欲
「 現 状 」
○ 「全員で指導結果を評価し,各自の指導に生かす」ことに対しては努力がみとめられる。また「学期−学年−次年度活用」については,年代層が高くなるほど回答が多くなる傾向がみられる。
小学校
● 要因としては,形成的に評価がなされ,それを活用するといった学校体制がとらえていないこと,年代が高くなるほど係依存傾向があることなどが考えられる。○ 各校においては,「学期末評価−学年末総括評価−次年度活用」が一般的傾向で,全員で評価し各自の指導に生かしたり,毎月個人反省し全体でまとめ活用するといった体制は少ない現状にあることがうかがわれる。また,学校規模が大きくなるほど「委員会でまとめ−活用」の傾向もみられる。
中学校
● 要因としては,学期−年度まとめといった総括評価が一般化し,毎時の授業に結びつけ,活用するといった評価がなされていないこと,個人の評価・活用の意識が低いこと等が考えられる。○ 一般的に「係等からの提供評価資料の利用−学期・学年末評価の活用」傾向にあり「全員で評
高等学校