研究紀要第72号 「基礎・基本の定着と個性の伸長に関する研究 第1年次」 -045/126page
である。しかし,その定着までの過程は人それぞれに極めて多様であるので,児童生徒の学習内容に対する興味・関心の違いや,見方や考え方の違い等を十分に考慮した指導が必要になる。そこで,一人一人の児童生徒の持つ「よさ」すなわち個性を重視して生き生きと活動させ,その連続の中で個性が生かされ更に伸長するように指導法を改善していくことが重要となる。そのことによって,初めて基礎・基本が定着し個性が伸長するものと考える。 (2) 調査票作成の手順
研究プロジェクト委員会において,調査のための理論に基づいて素案を作成した。 教師を調査の対象とするものは,日ごろの学習指導において,基礎・基本,個性のとらえ方及びその指導の在り方を内容とした。調査領域としては,学習指導の現状,個人差に応じた指導の現状等を設定し,研究協力校において予備調査を実施した。その調査結果に基づいて,研究協力委員とともに調査上の問題点について検討を加え,表 1−1の調査項目を設定した。 なお,児童生徒を対象とした調査票についても同様の手順を踏んで作成した。<表1−1>調査領域と調査項目
調 査 領 域 設問番号 調 査 項 目 I 学習指導の現状 1 一斉指導と個別指導 2 基礎的・基本的な内容のとらえ方 3 基礎的・基本的な内容の定着を図る指導(その 1) 4 基礎的・基本的な内容の定着を図る指導(その 2) 5 情意面の評価 II 個人差に応じた指導の現状 1 個人差に応じた指導の必要性 2 個人差を感じる対象 3 個人差への対応の困難度 III 個別化・個性化を目指す学習形態 1 学習者の進度の違いに応じて進める学習 2 「学習コース」・「学習の方法」を選択して進める学習 3 一人一人の目標を設定して進める学習 IV 教育システム 1 多目的スペース 2 ティーム・ティーチング V 児童生徒の実態把握 VI 「基礎・基本の定着と個性の伸長」に関する意見 (3) 調査のための理論と調査領域との関連
基礎・基本及び個性の構成要素と調査領域の主な関連は図 1−2に示すとおりである。
<図 1−2>構成要素と調査領域の主な関連※「基礎・基本の定着と個性の伸長」に関する意見は,自由記述式で求めたので調査領域の項目から削除した。