研究紀要第73号「事例を通した教育相談の進め方に関する研究 第2年次」 -097/126page

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● 本人への指導援助
 常に問題の背景にある本人の心情に目を向けた対応をしながら問題の素因に対しアプローチをすることが必要である。

基本的対応 具 体 的 対 応 対    応    例
(1)
情緒を安定させる
1 受容的,支持的な対応をする。 ○ 手引「ラボールの形成」の項参照
2 共感的理解をもとに対応する。 ○ あたかもそのような自分になったつもりで接する。
(例)かん黙の子に対する対応一話したくても話せないという状態になった気持ちで接する。
3 肯定的に受け止めて対応する。 ○ 「私は何をやってもダメなんです」→「自分を深く考えて反省をするんだね」と肯定的に受けとめて相手に返す。
※ 不安,緊張などにより身体症状が随伴している場合,自律訓練法なども効果的である。また専門機関へ紹介することも必要である。
(2)
客観的に自分を見つめさせる
1 自分の行動を見つめさせる。 ○ 「友だちと話をするとき,君はどんなことを言うの?」
2 自分と他の人(友達,親)との関係を見つめさせる。 ○ 「君はあの子とつきあっているけど,どんな気持ちでいるの?」
3 自己の気持ち,考え,性格傾向を見つめさせる。 ○ 「君は自分のことどう思っているの?」
4 他の人から見た自己像を素直に受け入れさせる。 ○ 「あなたは,他の人を大事にしようとするあまり,誰にでも好かれようとして無理に合わせようとしているんじゃないのかな」
(3)
自己洞察させる
1 問題行動の主たる要因に気づかせる。
 ア カウンセリングの技法や心理検査などを用いて気づかせる。
○ 問題行動の症状がなぜ起きるのか考えさせる。
 ・ 症状が起きる時の時間や場所,症状が起きる前の気持ち,症状が起きる時の周囲の状況などを話し合いながら,自分の性格や対人関係のあり方に気づかせていく。
2 今後の自分をどうしたいか,どうありたいか考えさせる。 ○ 自分をどのような性格にしたいか,または,どのような対人関係を持ちたいか具体的に聞き,達成された時の様子を想像させる。
 ・ 「今から3ヶ月後,君はどうなっていたい?」
   →「そうなると,君にどんな変化がおきる?」
   →「そうすると,どんなよいことがある?」
※ 話し合いによって自己洞察ができにくい子に対しては.遊戯療法や運動療法などが効果的である。
(4)
再適応させる
1 本人の再適応への不安な気持ちを理解し.支持して和らげる。 ○ 「つらくない?」「あんまり無理をしなくていいよ」「だれだって最初はうまくいかないものなんだよ」
2 本人の心情を理解しながら段階的に適応させる。 ○ 集団不適応の子供に対するアプローチの例
  1 対 1 → 少人数 → グループ と徐々に対人関係に慣れさせる。
○ 不登校の子供に対するアプローチの例
  段階的な登校計画を立てる。
  玄関まで → 校門まで → 昇降口まで → 保健室まで → 教室


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