研究紀要第74号 「学校の経営過程における現職研修のあり方に関する研究 第2年次」 -001/137page
1.研 究 の 趣 旨
現職研修(校内研修)については,県下各校とも自校の研究主題を持ち,意図的・計画的に実施している現状である。(当教育センター所報ふくしま「県下小・中・高校現職教育研究王道一覧」参照),にもかかわらず,臨教審答申においても,各校現場においても,いまあらためて「校内研修の活性化と質的充実」が叫ばれるのは何故であろうか・・・・。
現状から指摘される問題点をまとめてみると次のように考えられるのである。
(1) スクールフォーカスト研修 (自校の学校教育 課題に焦点をあて,その解決改善のために授業を 中心にしてあらゆる方策を考えだし,全員協働で 推進される校内研修)として,各校では意識態勢 や組織体制が確立されているかどうか。
(2) マネージメントサイクル研修 (推進過程の計 画(P)実施(D)評価(S)を通して.形成的 評価がなされ,研究内容が累積され活用されて, 当該年度に課題の解決改善が図られる研修)とし て確立されているかどうか。
(3) 日常の授業と直結し.授業の質的改善向上に そのまま役立つ研修 になっているかどうか。
このことは,当学校経営部の「訪問による予備調査〉」においても,ア 校内研修が全員の共有課題から出発したものとならず,研修意欲にも個人差が大きい。イ 日々の授業や生徒指導に研修内容が直接結びつかず,充実感が薄い。ウ 校内研修のすすめ方がマンネリ化し,生きて働く研修にならない等が上げられ,上記指摘される問題点の裏付けがなされている。
以上を総括してみるとき,現状において最も必要な校内研修改善の方向は,「先生方各自が自己を啓発し,課題意識や必要感を持ち,協働で研修し,やりがいを感じながら,所期の目的である自校の教育課題解決と自己の教育実技の質的向上に結びつく校内研修のあり方を具体化し,実践を積み重ねること」となろう。
そこで本研究では, 校内研修において各先生方 の自己啓発を促すための意識態勢・組織体制・企 画運営はどうあったらよいか に視点をあて,「学 校の経営過程における現職研修のあり方」を究明 することにした。
2.第一年次研究実践概要(昭和62年度)
(1) 自己啓発を促す校内研修必要条件の確認
まず各先生方が校内研修推進上,自己啓発され るのはどんな場合なのか,研究にあたってその必 要条件を次のようにおさえてみた。
○個人の課題意識・改善意欲,○集団の成員 自覚と協働意欲,○成員問の信頼関係・協働 態勢,○希望や適性が生かされた組織体制, ○到達が明解な研修推進計画の樹立,○推進 上の共通理解と成果の共有化,○実質的な研 修時間の確保と内容の累積活用,○リーダー による刺激と適切な指導助言,○新しい知識 ・情報の導入提示と活用,○全員で計画,・実 施・評価がなされ,教師も児童生徒も共に向 上していることがわかる実質的な研修・・等
これらが校内研修推進過程で生きて働くとき自己啓発は促されると考えたわけである。従って本研究では,異体的にどうすれば上記必要条件を満たす校内研修となるか,そのあり方・すすめ方を研究内容として追究していくことにした。
(2) 自己啓発阻害要因と改善点をみつける調査
研究の実施
次に取り組んだことは,現状において上記必要 条件を阻害しているものは何なのか.どこに陥没 点があるのかを明らかにするために「学校の経営 過程における現職研修のあり方に関する調査研究」 の実施であった。−(自己啓発にかかわる調査内 容,設問23,県下小・中・高,総数193校572名 の先生方対象,そして,学校規模別・教聴年代別 ・男女別に集計し,結果の考察を通して「自己啓 発にかかわる問題点〜その要因〜改善の方向」を まとめてみた。(昭和62年度教育センター紀要第 71号 分類基準E4−06参照)