研究紀要第75号 「基礎・基本の定着と個性の伸長に関する研究 第2年次」 -043/137page
I 研 究 の 概 要
1.研究の趣旨
教育活動の中軸である授業は,教師の教授活動と児童生徒の学習活動が教材を媒体として,互いに均衡を保ちながら有機的に作用し合って,初めて生き生きと展開しその効果を上げることができる。
ところで,これまでの教育は,どちらかといえば知識偏重の傾向が強かったといわれている。しかし,この傾向から脱却するための多くの試みがなされていることも事実である。県内の公立小・中学校の研究主題にも「意欲的」,「自ら学ぶ」,「自主的・主体的」,「個性的・個に応ずる」等の表現が多く見受けられる。このことは,教育の根底をなす児童生徒理解に立った指導の必要性を物語るものである。そこで,学習指導において児童生徒一人一人の個性に目を向けた教育をすることが重要と考える。
昭和62年12月に,教育課程審議会答申が公表さ れ,その中で,「教育課程の基準の改善のねらい」 として次の4点を示している。
(1)豊かな心をもち,たくましく生きる人間の育成を図ること
(2)自ら学ぶ意欲と社会の変化に主体的に対応できる能力の育成を重視すること
(3)国民として必要とされる基礎的・基本的な内容を重視し,個性を生かす教育の充実を図ること
(4)国際理解を深め,我が国の文化と伝統を尊重する態度の育成を重視すること
本研究では,これらの点を踏まえ学習指導の改善の視点から,個性重視の原則に立ち基礎的・基本的な内容を身につけさせる過程を通して,更にそれを基盤としながら一人一人の個性を生かし,伸ばす学習指導の在り方を追究することにした。
2.研究計画の概要
本研究は,昭和62年度から3年計画で行ってお り,年次ごとの研究内容は次の通りである。
第1年次(昭和62年度)
- 主題に関する文献研究
- 調査のための理論研究
- 実態調査
第2年次(昭和63年度・・・本年度)
- 研究理論の構築
- 研究仮説の設定
- 実践研究
(小学校国語科・社会科,中学校数学科における検証授業等)第3年次(平成元年度)
- 実践研究
- 研究のまとめ
3年間の研究の進め方は図1−1の手順で行う。