(2)授業の実際(「よさ」を生かす指導II)
第1時から第9時までの学習において,子どもたちは自らの興味・関心に基づいて学区内の商店への 見学・調査を行い,その中で「店による商品の値段の違い」「商店の売るための様々な工夫」について それぞれの追究過程の中でとらえてきた。
また,追究する中で見学の方法,課題解決の方法,調べてきたことの表現方法,班内での自分の役割に慣れ,学習もスムーズにできるようになってきた。更に,「イイねカード」による児童相互の認め合い,教師の賞賛により自らの「よさ」にも気づくことができた。
これらの学習の成果をもとに,前述の「単元の展開について」でも述べたように,本単元のねらいで ある商店会の協力の様子にせまる学習内容を軸に第10時からの学習の展開は,演繹・帰納の各思考型の 特性,表現特性,行動特性をより生かすことができるよう配慮した指導過程を組織した。
以下,第10時から第13時までの学習の概要について説明する。
第10時の学習=課題設定
演繹型については,その追究特性であるひとつの事実・事象を深く掘り下げながら事実・事象のもつ意味に気づいていく点に着目して,「シルクスタンプ」を提示することによりそこから商店会の存在に気づき目標に迫らせる過程を。帰納型については,数多くの事実・事象からその関係に気づいていくという特性に着目して,先に商店会の存在を一つの事象から知らせ,商店会で協力していることを数多く調べあげることから目標に迫らせる過程を意図的に組織した。
したがって,本時の展開にあたっても課題設定のための事象の提示は,演繹型については「シルクス タンプ」を,帰納型については「商店会が協力して開く土曜夜市」を示し課題解決のアプローチの仕方 に応じた課題づくりができるように配慮した。
本時の目標 |
商店どうしの協力について問題意識をもち課題をつくることができる。
|
本時の展開の概要 |
演繹型 |
帰納型 |
|
前時までの学習に対し教師から賞賛のことばと金メダルをおくる
(追究特性,役割,表現方法,学習内容に即応して賞賛する) |
|
|
T いままでの見学で,売るための工夫について他に気づいたことはありませんか。
C ・新製品をはやく店で売る。
・いろんなアイデアをだす。
・たくさん調べたからもうないよ。
T (シルクスタンプを提示して)これなんだかわかりますか。
C ・シルクスタンプだ。
・もらったことあるよ。
・運喜とかとうやでもらった。
・それお金になるんだよ。
・一枚200円。
・旅行にもいけるんだよ。・・・
|
T いままでみんなはお店屋さんの売るための工夫についていろいろ調べてくれたけど,どんなことがあったかな。
C ・品物を安くする。
・いろんなサービスをする。
・広告をだす。
T みんなが調べてく れたことは一軒のお店やさんがして いることだね。
それでは,お店やさんが力を合わせてやっていることはないかな。
|
|
T 「シルクスタンプ」なぜお客さんにくれるのかな。
C ・サービス。
・お客さんに喜んでもらう。
・お店にまた来てもらうため。
T それじゃこれも売るための工夫だね。
C ・そうです。
T シルクスタンプだれがつくっているのかな。
C ・お店屋さん。
・スタンプやさん。
・シルクスタンプは川俣にしかないので役場でつくっているん じゃない。
・川俣の町長さんが作ったんだよ。
・シルクは絹のことだから織物工場と関係があるんだよ。
T いろんな考えがでたね。それでは次の時間からシルクスタン プについてみんなで調べてみましょう。みんなはシルクスタンプ探検隊だよ。
|
C (・・・・・・・・・・)
T 先生がひとつ見つけてきたので紹介します。
(「土曜夜市」の看板を提示する)
C ・夜市の看板だ。
・行ったことあるよ。
T だれがやっているのかな。
C ・お店の人。
・商店がい。
・商店会。
T 商店の人たちがみんなでやっているんだね。
それではその他に協力してやっていることはないだろうか。
C (・・・・・・・・・・)
T それでは次の時間は川俣のお店やさんが力を合わせてやって いるものをさがす勉強をしましょう。
|