研究紀要第76号 「情報活用能力の育成に関する研究 第1年次」 -106/137page

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 本時のねらいは「コンピュータを利用して,高 校の学習内容と学科の特徴を知る」ということで ある。

 コンピュータの補助記憶装置(フロッピィディス ク)には,図−9に示す膨大な情報が入力されて いる。その中から必要な情報を引き出し,高等学 校の学科の特徴をつかむことはやや困難であると も考えられた。そのため,導入段階で,前年度こ の中学校を卒業した先輩の話を録音テープで聴取 させた。次いでパソコンの画面で事前調査におけ る学級全体の進路希望状況をグラフ化したものを 見せた。

 また,事前調査から学級の生徒たちが知りたい項目を度数の高い順にグラフ化し,画面に示して印象づけをした。これらの導入によって,希望する高校の特徴を知るためには「学習内容」や「卒業生の進路」が重要であることを認識させた。

 録音テープは身近な先輩の話ということで真剣 に聞いていた。コンピュータから画面が送られる と「うわっ,すどい,きれい」という声があがっ た。枠内はそのときの生徒の主な反応の様子を観 察者が記録したものである。(以下同じ)

抽出生徒A男(上位)
  自分に必要な情報が画面に現れると身を乗り出し真剣さを増した。

抽出生徒F子(下位)  
  調査観点の確認で指名発表させた…観点はほぼおさえていた。

《3》 情報の検索

 コンピュータの操作については,一人1台とし, 生徒一人ひとりが必要とする情報を自由に検索でき ることを目標とした。しかし実際には二人に1台の 割合なので,一人が検索している間に,もう一人 がその画面を見て,必要な情報などをメモするよ うにさせた。また,途中で交替し,時間の許す限り 多くの高校について情報を検索させるようにした。

 情報は必ず自分の手で引き出すことという指示 をしておいた。その中で,授業観察結果から生徒 の活動状況には画面をじっくり見て細かに情報を 記録するタイプと,次から次へと画面を送り,お おまかに多くの情報を得るタイプの生徒が見られ ることがわかった。

抽出生徒B子(上位)
  自分の番を待つ間,希望高校以外の画面も注視する。H中学校卒業生の在籍の項目は特に注目した。

抽出生徒C男(中位) 
  真剣に興味深く画面を見る。途中,入力ミスがあった。「ドキドキした」という感想 しかし,ストップキーで修正できた。

抽出生徒E男(下位)
  画面から熱心にメモをとる。検索活動は真剣そのものである。自分の番が終わるととなりの画面やまわりの画面を目を輝かせて観察していた。

《4》 学科の特徴の理解

 ある程度の検索作業が進んだ段階で,学校の特色の理解状況を把握するため,コンピュータの操作を一時中断させ,この段階でつかんだ学科の特徴を発表させた。普通科,商業科,工業科の順でまとめていったが発表内容から判断すると,十分な把握はされていないようであった。

 このため,普通科と商業科が併設されている高 校のデータは,履修教科等の比較・検討が容易な ので,これをLANシステムを使って強制的に生 徒のコンピュータ画面に出し,学科の違いについ て補説を加えてみた。

 このLANシステムによる画面の提示に生徒た ちは,大変驚いた様子であった。必要に応じたこ のような操作は,指導する上でも大変効果がある という印象を受けた。 内容を記入したフラッシュカードを準備しておき 生徒の発表に合わせて黒板に提示していった。

 これは時間の節約のためと学科ごとの特徴が一 目でわかるようにするための配慮であった。

抽出生徒D子(中位) 
  級友の発表の聞いていない・・・コンピュータの検索に夢中である。指名したがうまくまとめられない。

抽出生徒E男(下位)
 どの学科も調べたということで得意気である。指名し発表させたがよいまとめかたをしていた。


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