研究紀要第77号 「事例を通した教育相談の進め方に関する研究 第1年次」 -113/137page
3.調査にみる予防的な指導援助の現状と課題
この調査は,予防的な指導援助の要点と基本的対応を把握するため,児童生徒と教師を対象に実施したものである。
○ 調査対象者 ◆ 児童生徒 3,569人 (小学校5,6年775人,中学校1〜3年2,209人,高等学校1〜3年585人) ◆ 教師 936人 (小学校 493人,中学校 306人,高等学校137人 ※ 図は調査内容の主なものを掲載
※ アンケート結果の分析を省略し,基本的対応の主なものだけを掲載
※ 数値はパーセント(1)児童生徒の問題行動に関する意識
《1》 問題行動につながる気持
反社会的行動につながる気持ち
(以下反社会的気持ち)非社会的行動につながる気持ち
(以下非社会的気持ち)気分がムシャクシャして,おもしろくない。 誰かにやつあたりするか,なにか悪いことがしたい。どうせ人は,悪いことをしているのだから。
自分の気持ちをわかってくれる人はいない。 自分がとてもみじめに思え,とてもさみしく,つらい。
問題行動につながる可能性があると思われる(ア)のいつもそんな気持ちになる児童生徒に対しては 早急に指導援助する必要がある。また(ア)につなが る可能性のある児童生徒(イ)に対しても目を向ける 必要がある。まず,児童生徒の気持ちに気づくこ とが第一である。
《2》 問題行動につながる気持ちの背景
問題行動につながる気持ちの背景については, 図2から,学校に関する原因を詳細に把握する必 要がある。
また,図3から,家庭に対しては,本人を含め た人間関係のあり方に指導援助の必要がある。
図4から,学校生活において,相互支持的な集 団への調整が必要である。また,学業指導の工夫, 小学校では個別的な運動の指導も必要である。
(2)予防的な指導援助の内容
ここに示す指導援助の内容は,指導援助の結果問題行動に至らなかった例についての調査結果である。