研究紀要第78号 「学校の経営過程における現職研修のあり方に関する研究 第3年次」 -023/135page

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 また「用語解説」については,本ハンドブック第II章「校内研究のすすめ方の実際」において,解説されていない用語,または,さらにくわしく解説が必要な用語に限定して載せました。次のとおりです。
 「1 研究課題の集約」から・・・・「KJ法」,「自己啓発」
 「4 研究推進計画づくり」から・・・・・「事例研究・実践的研究」
 「5 研究時間の確保」から・・・・・「ブレーンストーミング」
 「6 授業研究」から・・・・・「S−P表」,「到達度評価」
 「9 研究推進の形成的評価」から・・「形成的評価」,「棒括的評価」,「ソシオメトリー」
 「11 評価結果の活用」から・・・・・「データベース」
 これらの用語は,いずれも校内研究推進上,効率を考えた場合には必要な研究法にかかわるものです。従って本ハンドブックでは,用語の意味概念を説明することにとどまらず,例えばどのようにすることなのか,各校ですぐ活用できるように,例示説明をしています。

1 用語解説の例

○ 自 己 啓 発
 「自己啓発」という用語の概念については,現在のところ,まだ一般化されていないが,それと相対する「相互啓発」との関連で使用されることが最近多くなってきた。
 「啓発」そのものの意味は,「知能をひらきおこすこと。開発。」(広辞苑)「気のつかないところ,足りないところを教えみちびくこと。」(三省堂国語辞典)となっている。
 「相互啓発」は,一つの課題を解決していく過程において組織成員が力を結集し,協働で事にあたることによって相互に教え,教えられる関係が成立し,その結果,組織全体が活性化されるような状態を指す。
 もちろん,このような相互補充・深化の関係が有効にはたらく条件としては,個々が,他から学ぼうとする強い意志を持っていることが必要である。そして,このような「相互啓発」の状態の中で,他からの刺激をもとに自己がめざめ,確かな目的意識をもって意欲的に活動を展開する状態に至る,このことを「自己啓発」ととらえた。
 従って,この両者は密接な関連をもち,互いに相乗効果を発揮しているとみることもできる。
 また,「自己啓発」は,端的に言うならば,「本人のやる気」「前向きの構え」であり,「教師自身の自己教育力」とも言うべきものである。
 共同で推進する校内研究では,研究同人である個々の研究意欲が基盤になることは言うまでもない。
 このような考えに立って,本ハンドブックでは,校内研究を推進する過程で相互啓発が図られ,それが自己啓発に結びついて全体が向上していく研究を「自己啓発に支えられた研究」とおさえ,教師自身の自己啓発に支えられた主体的な活動でなければ,研究の目的は十分に達成できないと考えた。

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