研究紀要第78号 「学校の経営過程における現職研修のあり方に関する研究 第3年次」 -024/135page
○ ブレーンストーミング(Brain-storming )
問題の解決にあたって,衆知を集めてより良いアイディアを出していく集団思考の一技法で,アメリカのオズボーン(A. F. Osborn)によって考案された。 1 批判の禁止, 2 自由で発想豊かなアイディアの尊重 3 多量のアイディアの要求 4 他者のアイディアと自己のものとの結合,など4原則のもと,自由な雰囲気のなかで,アイディアを出し合うことが重視される。
校内研究協議会等において研究主任や,司会者は,次のように進める。
1 何について,なぜ,みんなの意見を求めるのかを明確にして,問題を示す
2 上の4原則を確認する。
3 「今から始めます」と言って,多くの意見を求める。記録係(2名ぐらい)は,出された意見を,カードや模造紙に手際よくマジックなどで書く。
4 意見があまり出なくなったら,意見を整理し,意見が出やすいよう着眼点(ヒント)を投げかける。
5 意見が出つくしたと判断したときには「あと何人だけ」とか, 「時間がきたので」ということで打ち切る。
6 出された意見を,実現可能性の強いもの,実現不可能なもの,どちらともいいがたいものとして, ○・ ×・△の印をつける。
7 ○印をつけた実現可能な意見を,類似した意見ごとに分類する。
8 整理したものを,まとめて発表する。
この方法は,研究課題を討議する際や研究主題及び研究仮説の焦点化時などで,各自の思考を促進してより多くの考えを出し合いすぐれた「アイディア」を得る段階に有効である。
○ 事例研究と実践的研究
「事例研究」は,ケーススタディ(Case-study)ともいわれ,学校教育では問現行動をとる子どもや障害のある子どもを救済することをめざし,因果関係を追求して適切な指導法や治療法を発見する臨床的な研究方法である。多くの資料を総合して他の事例との共通性あるいは特殊性を探り,適切な指導法の究明とその共有化を図り,どんな指導援助が適切かを探るために実施することが中心となる。
事例研究の特徴は,関心をもっぱら個人に向け,一個人を徹底的に集中的に研究することにある。また,個人との関連において,友人,家庭等の社会的環境についてもあわせて研究することが広く行われている。
学校においては,生徒指導に関する研究や,養護教育(特殊教育)に関する研究などにおいて,この方法がとられることが多い。
「実践的研究」は,教育の内容や方法について工夫し(仮説を立て) ,これを日常の教育実践によって検証する方法である.研究の手順としては, 「主題の設定」 「実態の把握」 「仮説の設定」 「実践」 「結果の考察」の過程を経るものとされている。学校における研究において,教科等の研究では概ね実践的研究が中心であり,実践としての授業を通して,仮説の検証を進める形態がとられている。
研究を進める上では,事例研究も実践的研究も検証の結果として,新しい方向や方法あるいは普遍性を生み出すとともにその結果を適用したり,継続的に実践したりすることで検証を進