研究紀要第78号 「学校の経営過程における現職研修のあり方に関する研究 第3年次」 -026/135page
○ Q3:研究の趣旨には.何を書けばよいのでしょうか。
1 研究の趣旨には,次のア〜オについて,簡潔に述べるのが望ましいでしょう。その際,カ〜コの事柄と研究主題との中で,特に強く関わることについて,「自校や私の立場」を明らかにしながら述べることも大切でしょう。
ア、研究の動機(理由)や研究の目的
イ、いくつかの事実(諸調査などの客観的データ)の考察を通しての主たる問題点
ウ、児童生徒側,及び教師側の両面からの「主たる問題」についての原因の考察
エ、主題の課題性・必然性・緊急性
オ、主題解決までのおおよその見通し
カ、学校教育目標及び本年度の重点目標等
キ、日常指導の反省,児童生徒の実態等
ク、今までの研究の成果や課題等
ケ、教育上の今日的課題等
コ、地域や保護者の要請・願い等
実際には,ア〜コについて整理しながら「いくつかの問題点の中で,今年,1年で解決しようとすることはこのことである」と,「自校や私の立場」を明確にしながら書くことが最も大切となるでしょう。
<例3−1> 研究の趣旨の一例
まず,研究の動機について述べます。
先の教育課程審議会の答申では,基礎・基本の重視が提示され‥・,本校でも,基礎・基本の確かな定着を努力目標として掲げ,毎時の授業の充実を図り,基礎・基本を習得させるための指導の徹底を期してきた。特に,今年度は,算数科を重点教科として全学級で取り組み,算数科における基礎学力の向上を目指したいと考えた。
次に,事前調査等のデータの考察から浮かびあがった問題点について述べます。さらに課題性・必然性等について触れながら,いくつかの問題の中から,一つに絞ります。
・・・・,下記の実態調査(省略)にあるように,算数科の数と計算の分野の落ち込みが特に低く,既習事項の不徹底が目につく現状である。
これは,教師側には‥・の原因が考えられ,児童側には‥・の原因が考えられる。
以上について,今までの研究経過(別表,略)も合わせて検討した結果「基礎・基本の的確な把握と個々の学習状況に応じた指導方法のあり方」を研究の中心とした。
最後に,解決策や研究の見直し・研究の方向性等について述べ,設定理由をまとめます。
そこで,教材の系統・発展を的確にとらえ,基礎的・基本的事項を明確にし‥・。また,的確な形成的評価によって,個々の学習状況に応じた「スモールステップテスト」を活用し‥‥指導を徹底して,基礎的計算力を確実に身につけさせることをねらった。
このように,・・・・・・・・と考え,上記の研究主題を設定した。