研究紀要第78号 「学校の経営過程における現職研修のあり方に関する研究 第3年次」 -028/135page
際人の育成」等があげられていますが,いずれもうなづけるものです。
とにかく,現在わが国の社会は,成熟化,情報化 国際化等,大きな変化の流れの中にあります。従って各校における現職研究も,これら社会の変化に対応しながら,なお新しい時代を展望して柔軟かつ積極的に推進する態度が大切であろうと思います。
なお,中教審(中央教育審議会)が平成元年4月より再開され,文部大臣よりの諮問「新しい時代に対応する教育の諸制度の改革に対する具体的方策」の検討に入っています。こうした教育界の動向に注目しながら,現状としての自校の教育課題(研究課題)をふまえて,現職研究の視点・内容を明確にしていくことが必要でしょう。
V 研究のまとめ
○ 本研究は,県下各学校の校内研究についての問題点を把握し,意識態勢・組織体制・企画運営はどうあったらよいか,を大きな視点として研究協力校の実践研究を通して自己啓発的な校内研究のすすめ方について追究してきた。
第3年次の本年度は,第2年次にまとめた「自己啓発を促す校内研究のあり方,進め方」の試案を小,・中,高校計5校の協力校で実際に使って頂いた。その結果,修正.改善意見の報告をいただき,それを基に試案により実際的,実践的に工夫改善をしてここにまとめることができた。ページ数の関係で全部を載せることができなかったが,別に校内研究ハンドブック「先生方のニーズに応える校内研究のすすめ方」として刊行予定である。
○ 自己啓発は基本的には個人の意欲に関わることであるが,個人の研究意識が基盤となり「校内研究を推進する過程で自己啓発が図られ,それが相互啓発に結びついて全体が向上していく研究」を自己啓発に支えられた研究とおさえてきた。その自己啓発を促す要因を次のように考えた。
・個人のニーズや研究課題を生かすこと ・到達目標を明確にすること
・意欲を高める協働態勢,組織体制を作ること ・研究内容,方法を明確にすること
・時間を確保することや資料の活用を図ること
・形成的,総括的評価をしながらすすめること
以上を基盤において,校内研究のすすめ方を計画段階,実施段階,評価段階の面から11項目について,その具体的な手順,内容をまとめたものである。これらの11項目は,校内研究を推進する上で,全体を通してこのまま使えるのは勿論,各項目一つだけでも独立して活用できるように工夫してある。各校の実情に応じてご活用願いたい。
○ 「校内研究のすすめ方」は,全休としても,また,各項目ごとにも計画(P),実施(D),評価(S)のマネージメントサイクルでまとめてある。学校で実際に研究をすすめる上では,自校の弱い面を把握しP,D,Sのどこに力を入れるかを明確にしてから活用されれば,より充実した研究を進めることができると考える。
特に研究を充実させるためには,全体としての計画と,各項目ごとの計画を確立することが最も肝要と考え,ここを強調してあるので,この意とする所を十分にくみ取って研究推進に役立てて欲しい。
○ また,本研究の発展としての校内研究ハンドブックでは,「校内研究のすすめ方」の手順,内容の他に,研究のまとめとして作られる研究集録・研究論文の書き方についてもQ&Aとして取り上げた。各校の成果発表の際の一つの指針になると考えるので参考にして頂きたい。また,