研究紀要第79号 「基礎・基本の定着と個性の伸長に関する研究 第3年次」 -031/135page
T 研 究 の 概 要
1.研究の趣旨
ここ数年,福島県内の公立小・中学校が学校ごとに設定し,校内研究として取り組んでいる研究主題によると「自ら学ぶ」,「自主的,主体的に」,「個を生かす」,「個に応じる」等の表現が多く見受けられるようになってきている。
このことは,これからの社会の変化に主体的に対応して生きていくことができる資質を養うことを学校教育において重視する必要があるという考え方の表れであり,臨時教育審議会答申から教育課程審議会答申を通して貫かれている「個性重視の原則」の観点に立つものと考えられる。
このような状況を踏まえ,本研究では学習指導の改善の視点から,基礎的・基本的な内容を身につけさせる過程を通して,更にそれを基盤としながら一人一人の個性を生かし,伸ばす学習指導の在り方を,実践的に追究しようとするものである。
折しも,この研究を進めている平成元年3月に新学習指導要領が告示され,その中の「第1章総則 第1教育課程編成の一般方針」の1には次のように示されている。
学校の教育活動を進めるに当たっては,自ら学ぶ意欲と社会の変化に主体的に対応できる能力の育成を図るとともに,基礎的・基本的な内容の指導を徹底し,個性を生かす教育の充実に努めなければならない。
新学習指導要領の総則は,新しい学習指導のあるべき方向性を示す性格を持つものである。その意味で上記の内容は,「基礎的・基本的な内容の指導を徹底し,個性を生かす教育」が改めて新しい学習指導の在り方として位置づけられたものであり,まさに本研究の必要性を物語るものと考えることができる。
2.研究計画
本研究は,昭和62年度から3年計画で行っており,年次ごとの研究内容は次のとおりである。
第一年次(昭和62年度)
・主題に関する文献研究
・調査のための理論研究 ・実態調査
第二年次(昭和63年度)
・研究理論の構築 ・研究仮説の設定
・実践研究(小学校国語科・社会科,中学校数学科における検証授業等)
第三年次(平成元年度……本年度)
・第二年次までの研究の見直し
・実践研究(小学校図画工作科,中学校英語科における検証授業等)
3年間の研究の進め方は図1−1の手順で行う。
<図1−1>研究の手順