研究紀要第79号 「基礎・基本の定着と個性の伸長に関する研究 第3年次」 -045/135page
(4)「よさ」を生かし,意識化させ,伸ばす指導の手だて
1 発展カードと活用
指導の各段階に,「発展カード」を用いて児童どうしの相互評価,自己評価,教師の評価の活動を組み込んだ。「ホップカード1」は,「鑑賞,発想・構想」の段階で使用したものである。評価の観点は「ア,鑑賞作品の見方や感じ方のよいところ」,「イ,鑑賞活動中の発言や態度のよいところ」とした。
観点アは,基礎的・基本的な内容の定着にかわることであり,観点イは,児童一人一人の「よさ」を発見し,生かし,意識化させることにかかわることである。「ホップカード2」は下絵の製作で,「ステップカード」,「ジャンプカード1」は彩色段階で,「ジャンプカード2」・は仕上げ,鑑賞の各段階でそれぞれ活用した。
これらのカードには,児童の学習の過程の様子と結果が記録されていく。その内容を読んで児童自らが,作品の製作活動に生かすことによって具体的に自分自身の「よさ」が意識化されることになる。
<発展カードの例>
ホップカード1の【観点】
ア.鑑賞作品の見方や
感じ方のよいところ
イ.鑑賞の活動中の発言や
.態度でよかったところ
ホップカード2の【観点】
ア.表現の意図や構想の
よいところ
イ.アイデアスケッチの取り組み方
と発表会の時の発言や
態度でよかったところ
【「ジャンプカード」の活用例】
ここには,彩色段階で活用した「発展カード」の中の「ジャンプカード1」の例を載せた。観点として「ア,彩色の方法や色あいの工夫のよいところ」,「イ,主題をうまく表出させる工夫のよいところ」(基礎的・基本的な内容),「ウ,彩色する取り組み方と発表会の時の発言や態度でよかったところ」(児童一人一人の「よさ」にかかわること)を設定した。
2 座席表の活用
指導の各段階ごとに児童を抽出したり,授業中に個別に「よさ」を意識化させたりするための手だてとした。
その時間で指導しなければならない内容や次時の指導に役立てるための指導内容や「よさ」を書き込んで活用し,「個人カルテ」にも累積記録していった。