研究紀要第80号 「情報活用能力の定着と個性の伸長に関する研究 第2年次」 -098/135page

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が高い値を示している。
3 評定尺度I(教師)と評定尺度II(児童生徒)の評定結果は後者の万が一般に高く,特に小学校のG影響の要素で著しい。また,事後テストでは後者の値(児童生徒)が前者(教師)に近づく傾向がある。
 これらのことから,G影響(情報化がもたらす影響の理解)などは,小学生にとってかなり難しい概念であり,児童の発達段階に合わせた指導方法の工夫が必要である。また,授業後には各要素の内容(文言)に対する児童生徒の認識が深まり,教師が理解しているレベルに近づいてきだものと考えることができる。

(2)情報活用能力の育成プロセスの作成
 「研究の構想」で述べたように,本研究では育成すべき内容を決定し,それにそった課題と課題解決のための情報手段として活用できるメディアを明確にしながら,作成した実践モデルにそって授業の学習過程を構成している。検証授業では学習指導案を作成する段階から授業本来の目標達成を根底にすえて,各研究協力校の実態に応じたメディアを活用しながら授業を組織してきた。
 このように,育成プロセスの実践モデルを基に授業の学習過程を作成することは,情報活用能力の育成要素とそのための課題解決を目指して,児童生徒や学校の実態に応じた具体的な指導の手だてを見い出すために,大変重要な役割を果たしているということができる。

(3)実践上の成果と問題点
1 事前調査の段階から児童生徒に育成要素を全く意識させない(一切の説明をしない)で実践したが,授業の指導内容と育成しようとする要素との関係については,事前に知らせておく方が効果的である。
2 L操作の要素は短時間で育成することが可能であるが,その他の要素については多くの機会と長期にわたる指導の継続が必要である。
3 情報モラル(G影響,H重要性,T責任など)については児童生徒の発達段階に応じた意図的な細かい指導が効果的である。

3 おわりに
 情報活用能力を育成するための理論を構築し,具体的な授業を通して実践してきた2年間の研究により,児童生徒たちの学習活動そのものを『情報活用能力が育成された状態像』に一歩近づけることができたと思われる。
 今後は本研究の趣旨を発展的にとらえ,学校教育活動の全体を見通しながら研究実践の場を広く求め,新しい研究課題に取り組む予定である。
 最後に,本研究のために御協力いただいた研究協力校並びに研究協力員の方々に厚く感謝する次第である。

【研究協力校並びに研究協力員】
福島市立福島第四小学校
 高橋 友憲  大内 宏典
 猪股 律文
田村郡三春町立岩江小学校
 遠藤 俊一  斎藤 博美
福島市立北信中学校
 斎藤 嘉則  林  尚
福島市立清水中学校
 佐藤 修  渡邊 昌和
福島県立福島工業高等学校
 渡辺 知美
福島県立福島東高等学校
 長谷川和弘

【科学技術教育部プロジェクト研究メンバー】
磯部 紀郎  佐藤 輝夫 秋葉 史裕  峯島 和彦
上遠野洋明  村山 正之 鈴木 暉夫  塩田 義隆
武仲 晴美  大室 幹男 八島 喜一  八巻 茂雄
野地 敏明  遠藤 二郎 丹治 睦堆  田村  尚
鹿俣 和子  菅野 嘉幸
○佐久間房次 ○中野 敏光 ○湯田 健一 (○印は前任者)

【参考文献】
・教育における情報工学 (渡辺 茂編)
・小学校における情報処理能力の育成  (東京学芸大学附属大泉小学校著 明治図書)
・情報化社会  (林 雄二郎著 講談社)
・初等中等教育における情報化への対応についての検討資料 (文部省)
・教育課程審議会答申

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