研究紀要第80号 「情報活用能力の定着と個性の伸長に関する研究 第2年次」 -097/135page

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の2クラスで検証授業を実施した。
1 3年生(数学)ではA収集,B選択,C処理,D創造,E伝達,L操作を育成する検証授業を実施した。事後調査の結果からは,A収集,B選択,C処理,D創造,E伝達,L操作の各要素が向上した。特に女子のL操作が大きく向上した理由は,普段パソコンに触れる機会が少なかったためと考えられる。しかし,12要素のうち,5要素の評価がわずかに低下しているが,これは検証授業によりかえって自己評価が慎重になったのではないかと考えられる。
2 3年生(社会)では事前調査で評価が低かったC処理,D創造,T責任,H重要性,L操作を育成する検証授業を実施した。その結果,すべての要素が向上していた。
 この検証授業において特にT責任の向上が大きかった。これは,授業の指導内容とT責任が深く関連していたためではないかと考えられ,興味ある結果を得ることができた。
 1,2の結果を総合し,各要素の変容を見るとL操作の向上が大きかった。

(3)高等学校の実践
 コンピュータクラブと1年生(機械科)の2クラスで実践した。実践に先立ち,評定尺度I・IIの事前調査を実施した。その結果,評定尺度IIの評価はD創造,G影響,J基礎,K特徴,L操作が低い。
 高校生は小・中学生に比べると,情報に対する認識が更に深まり,D創造,G影響,J基礎といった高度な要素が低く,自己を冷静に評価する傾向が見られた。
1 コンピュータクラブの事前調査の結果からは創造D,基礎Jが低いので,この2つの要素を育成する検証授業を実施した。その結果,D創造,J基礎の要素はもちろんのこと12要素のすべてが向上した。特にH重要性の向上が大きかった。これは,生徒が表計算ソフトの利用ができるようになり,データを入力して作表したり,表の意味を考えたり,情報の価値に気付いたりしたので情報の重要性が理解されたものと思われる。更にコンピュータクラブという特殊な環境と生徒の意欲的な学習により,全要素が向上したものと考えられる。
2 1年生(機械科)ではJ基礎,K特徴,L操作の評価が低いので,これらの要素を重点にし,更にD創造,G影響を育成することにして検証授業を実施した。その結果,各要素がすべて向上した。特にJ基礎,K特徴,L操作の各要素の向上が大きかった。これは検証授業がパソコンに関する内容であったこと,生徒のパソコンに対する意識が高かったこと,計画的に指導したことなどが考えられる。全体として12要素のうち,11要素が向上した。
 図2は1,2の結果を総合したものであるが12要素すべてに向上が見られた。特にJ基礎,K特徴,L操作の向上が大きかった。
図2 高等学校の総合評価(評定尺度II)
 図2 高等学校の総合評価(評定尺度II)

2 研究のまとめ
(1)評定尺度I・IIの設定
 『情報活用能力が育成された状態像』の達成状況を評価するための評定尺度T・IIについて,研究第2年次は初年度の試行実践の反省に基づいてその文言を工夫改善してきた。その際『情報』,『情報科学の基礎』,『情報手段の特徴』など,各要素のキーワードとなる用語の基本概念に補説を加えて一般化しているが,評価した結果(事前,事後調査)を総合すると,次の事項があげられる。
1 小・中・高校ともにL操作の要素が大きく向上している。
2 各要素の評定結果は中・高校に比べて小学校

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