研究紀要第81号 「事例を通した教育相談の進め方に関する研究 第2年次」 -104/135page

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基本的対応 具体的対応 対 応 例
  言動をとる。 (良い行動の報告を中心に)
  イ.親の話を傾聴しながら,気持ちを受容し,支持する。 ・「それはご心配ですね」「00とお考えになるのは当然ですね」など,親の考え・感情にべースを合わせて,その気持ちを支持するように聴く。
  ウ.親と一緒に考えていこうとする態度を示す ・「力不足ですが,お子さんのために私のできるかぎりのことをしたいと考えております」
・学校であった良いことを,その都度伝える。
 「今日の掃除の時間,すごく熱心だったんですよ」
・学級通信などで,子供の良いところ・先生の考え・学級の雰囲気を知らせる。
  エ.相談内容を口外しないことを伝える。 ・秘密の保持を約束し,安心感を与える。


(6)資料収集.予測診断.予防仮説
 多面的に資料を収集しながら,予測される問題行動を診断し,それを未然に防ぐための仮説をたてることが予防援助にあたって大切である。
  ―資料収集―

基本的対応 具体的対応 対 応 例
1)資料収集の計画を立てる 1 「問題点の気づき」の時点から資料収集の計画を立てる。 ○いつ,どこで,誰が.どんな内容の資料を,どの程度収集するのか具体的に計画を立てる。
(2)問題点と関連する具体的資料を収集する

 

1 既存の資料から資料収集をする。
 指導要録 成績記録 出席簿 学級経営誌 健康診断票 生活指導記録 家庭環境調査票 グループ日誌・絵画・作文 班別連絡ノート
○学校にある資料から,具体的に資料を収集する。
・前年までの成績,行動,性格など一般的特徴を把握する。
・月曜日や連休明けなどにおける遅刻,早退,欠席の有無や身体的特徴,健康状態をとらえる。
・最近の各種調査や心理検査,家庭訪問記録などから興味関心,悩み,対人関係 家族構成,家族の雰囲気などに注目する。
・ 現在の不満や問題が表れていないか調べる。
2 心理的背景を考えながら言葉や行動を観察する。
 ・言語的表現や非言語的表現に注目する。
○生活状況や心理状態に配慮しながら,朝会ったとき,授業中,休み時間,放課後などの機会をとらえて観察する。
 ・言葉づかい・話の内容・表情・声の調子・動作・髪形・服装・持物など             詳しくは☆P91(3)参照
3 他の教師から,本人についての情報を得る。 ○日常の同僚とのやりとりの中で,その子供についてのありのままの情報を聴きとる。
4 家族から資料を収集する。 ○たまたま立ち寄った形で,家庭訪問などの機会をつくり子供の状態を知る。
・「最近,夕食後はどうしていますか?」
5 面接で資料を収集する

 ア.何気なく話かける。
 イ.時には率直に聞く。

ウ.「予防意識」過剰にならないようにする。
 エ.過剰介入にならないようにす

○ことさら「面接」の設定をした印象を与えないように注意する。
・「ちょっと悪いけど,手伝ってくれないか…‥…・ところで,家の手伝いは?」
・「学校がいやになっちゃったなんてことが.あるんじゃないかな…‥‥‥」
・本人の自己実現のために一緒に考えるのだという考え方をして,「予防」ということを本人に意識させない。
・一度に収集しようとせず,警戒心を起こさせないように気を配り,信頼関係を大切にする。
6 調査・検査により資料を収集する。

 ア.検査に対する動機づけを図る。


 イ.複眼的に評価する。

   ウ.肯定的に解釈する。

○性格検査など,基本的な検査は,なるべくクラス全員に実施し,違和感を与えない。
・ DAT,GAT,パウムテスト,人物画テストなど,個別指導的に実施するときは,事前に十分なラポールをつくり,本人自身が自分のためにやりたいという意欲づけをして実施する。
・検査は,複数の検査を組み合わせて実施することが望ましい。
・検査結果は,「くよくよしがち―内省的」,「そそっかしい―明朗・活発」などのように肯定的に伝える。

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