研究紀要第81号 「事例を通した教育相談の進め方に関する研究 第2年次」 -107/135page

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  人の養育態度にも目を向けるようにする。
イ.対応の提案はなるべく具体的なものにする
・「00君は,00さんのこともとても好きで,頼っているようですよ」
・「00君は,家族のだれと一番お話をするの?」
・「00という方法があるのですが,この場合はどうでしょう」
(4)抑制要因の強化を援助する 1抑制要因についての気づきを図る。 ○問題行動の顕在化を防ぐ抑制要因に気づかせる。
・「(家族の)00さんのその態度や接し方が成功しているんですね」
2抑制要因強化についての手助けを行う ○子供の行動面だけでなく,心理面へのアプローチを強化する。
 「00のようにされたら,気持ち良く話してくれるかも知れませんね。」


(9)学級全体への予防援助
 学級内の人間関係は本人の素因を形成したり誘因として働いたりする。そこで問題行動を抑制するため,望ましい人間関係をつくることが大切である。

基本的対応 具体的対応 対 応 例
(1)学級全体の望ましい人間関係を作り、相互支持的な雰囲気を醸成する 1人間関係を考えて班編成をする。
2親睦を深め,相互理解の機会を多くつくる。
3思いやりの心で友達の行為を考えさせ仲間意識を持たせ行動させる。
4教育活動において,教育相談的手法を生かす。
○教師自身が思いやりの気持ちをもって接し,自他ともに認められるような人間関係を育てる。
・教師と子供,子供相互の会話やコミュニケーションの場を多く持ち,理解を深める。自己紹介,ゲームなど
・学校行事等において子供を主体的に活動させ,教師も積極的に参加することにより,相互協力の体験を味わうことができるようにする。「みんなでやったからできたんだね」
                      詳しくは☆PlOO(2)参照
(2)規範意識をもたせ、規律とけじめのある学級集団を育成する 1けじめや規範の必要性を理解させ,自主的に規律を守る気風を育てる。 ○集団生活の中では,約束を守ることなど,けじめというものの必要性を考えさせ、その中で自分も生かされていることに気づかせる。
 ・互いに励みあう。
2基本的な生活習慣を身につけさせる。 ○学級及び個人毎の基本的な生活習慣のめあてをはっきりさせる。
3授業態度など,基本的な学習習慣を身につけさせる。 ○学習意欲を高めることや,学習の仕方を理解させることについて工夫する。
 ・「頑張っているね。ほら,できてるよ。」
 ・「なるほど,そういう方法もあるね。」
(3)本人が集団に受け入れられ、適応していけるよう、友人関係を調整する。
1お互いの個性を深め合える集団作りをする。 ○子供のよさをみつけ,折に触れて紹介をする。
・「00くんは,みんなが帰った後,破れた図書の修理をしてくれたんですよ。」
2本人が受け入れられるグループ編成等に配慮する。 ○各種資料などから,子供の人間関係を把握し,編成に生かす。
・本人の気持ちが安定し,意欲を持って主体的に活動できるよう配慮する。


(10)予防体制
 予測される問題行動について共通理解を図り,役割を分担して予防援助に当たることが大切である。

基本的対応 具体的対応 対 応 例
(1)組織としての体制を整え予防的な指導援助の意識を高める 1校内生徒指導の組織を整え,計画的な運営ができるようにする。 ○予測される問題行動を持つ子供の指導援助は学級担任が主になるが,場合によっては学年,生徒指導担当,教科担任等が分担してあたる。
2生徒指導についての研修を深め,予測される問題行動の予防意識を高める。 ○定期的に学年又は教科担任から予測される子供の問題を提起する。
・学年研修:学年主任を中心に研修を進める。
・校内研修:生徒指導担当者を中心に研修を進める。

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