研究紀要第81号 「事例を通した教育相談の進め方に関する研究 第2年次」 -110/135page

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 イ 心理検査からの問題点把握の仕方
 心理検査は,それぞれの目的にそって実施するため,測定するものは,児童生徒の一面にすぎない。そのため,必要に応じて,何種類かの心理検査を組み合せて活用することが大切である。

 【図3】 心理検査による問題点把握
【図3】 心理検査による問題点把握

  4 調査・検査の活用例
 以下は,本研究で使用した「YG性格検査」および「AAI学習適応性検査」の活用例である。
 なお,結果の分析内容は,範囲についてのみである。

調査対象
 A小学校5年生   41名
 B中学校1年生   37名
 C中学校2年生   43名
 D高等学校1年生  47名 男子実業高校
 E高等学校2年生  47名 普通高校 共学

 ア YG性格検査
 主に情緒不安定傾向を持つ児童生徒を把握するために実施した。
 図4は,YG性格検査の「抑うつ性」「気分の変化」「劣等感」「神経質」の各因子得点が,高い(標準点が4または5のもの)児童生徒の学級に占める割合を示したものである。

 【図4】 情緒不安定傾向を持つ児童生徒の割合
図4】 情緒不安定傾向を持つ児童生徒の割合

 今回の調査においては,図4に見られるように学級のほぼ2割以上の児竜生徒が,「情緒不安定傾向」を示していることが分かった。

 イ AAI学習適応性検査
 学習不適応の程度を把握するために実施した。図5は,AAI偏差値が1または2(学習不適応)と判定された児童生徒の占める割合を示したものである。

 【図5】 学習不適応児童生徒の割合
【図5】 学習不適応児童生徒の割合

 今回の調査では,図5から,YG性格検査と同様に,学級のほぼ2割程度の児童生徒が「学習不適応」の状態にあることがわかる。

 YG性格検査およびAAI学習適応性検査・YG性格検査の結果を照合し,さらに,研究協力校の学級担任の観察報告等から分析すると,一学級あたり,4名から9名程度の「指導援助を必要とする児童生徒」が存在するものと考えられる。

(2)指導援助の効果の確認
 1 基本的な考え方
 図1で示したような,多面的・客観的な方法で指導援助の効果を確かめる。
 2 調査・検査の活用
   ○同じ検査を実施する。
   ○問題としたところを比較して,その変容を見る。
   ○全員を対象として実施し,集団の変容も併せて見る。
 3 調査・検査の活用例
   ア YG性格検査
   個人の性格傾向の変容を確認するために実施した。

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