研究紀要第81号 「事例を通した教育相談の進め方に関する研究 第2年次」 -111/135page

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  図6は個人変容を調べた例である。

 【図6】 C中学校2年年男子のYG性格検査
【図6】 C中学校2年年男子のYG性格検査

 図6から分かるように,5月の検査では情緒不安定傾向が強かったのが,10月の検査では情緒不安定傾向が弱まっている。

 イ AAI学習適応性検査
 学習不適応状態が,どのように変容しているかを知るために実施した。
 図7は,C中学校2年生男子個人のAAI学習適応性検査の例である。

 【図7】 C中学校2年生男子AAI診断プロフィール
【図7】 C中学校2年生男子AAI診断プロフィール

 図7から分かるように,5月の検査から10月の検査までの間に,「学習環境」を中心に,大きく改善している。学級担任の観察結果ともよく一致している。

 ウ 集団の変容
 研究対象児が所属する学級集団がどのような集団であるかを把握することは,個人理解にも結びつく重要なことである。
 図8は,学級の性格傾向の変容を調べたものである。

 【図8】 D高校2年生YG性格検査類型の学級変容
【図8】 D高校2年生YG性格検査類型の学級変容

 図8から,A型およびB型類型,E型類型が減少し,D型類型が増加したことがわかる。
 図9は,学級の学習不適応状態の変容を調べたものである。

【図9】C中学校2年生AAI診断プロフィール
【図9】C中学校2年生AAI診断プロフィール

 図9から,「自主的態度」「根気強さ」を除くと,不適応傾向は減少し,反対に,適応傾向(良い傾向)の全体的な増加がわかる。

(3)調査・検査活用のまとめ
○今回の調査において,研究協力校の約2割の児童生徒に,予防的な指導援助が必要と考えられたが,これは,1年次の研究のアンケートから予測された数値とも,一致していた。
○調査・検査によって,予防的な指導援助の効果を判定したり,フィードバックすることが必要であることが確認できた。
○観察や面接等での児童生徒理解に客観性を持たせるためには,調査・検査を活用することが重要であることをあらためて認識できた。

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