研究紀要第82号 「個を生かす学年・学級経営に関する研究 第1年次」 -003/123page
いくつかの,個を生かす実践上の課題の中で,徐々にではあるが,学級規模の適正化は改善されつつあるところである。
しかし,「教師の意識変革と指導方法の改善」や「学習内容・方法の多様化,弾力化」などの問題については,各学校に委ねられているというのが実情である。
これらの現状を踏まえた上での個を生かす学年・学級経営を進めるための視点はどうあるべきなのだろうか。本研究では,全教連福島大会確認事項(H.2.1.24〜1.26)の「個を生かす4つの視点」を手がかりとして,下記に示す事項を設定し「個を生かす学年・学級経営のあり方」を究明することにした。
研究の視点
学年・学級経営を進める上で,認知的側面と情意的側面の調和を保ち,他者受容・自己表出を基盤にした社会性を持ち,主体的・自立的に活動できる実践力を備えた「個性豊かな児童生徒」を育成するには,次の4点に着目して指導していく必要がある。 1 個の存在を認め,個の存在を大切にする内容・方法を明確にすること。 2 個の特性をとらえ,生かす内容・方法を明確にすること。 3 認知面に偏ることなく,情意的側面との調和を考えた実践活動のあり方を探ること。 4 個性豊かな生き方のための基礎・基本の習得を重視する内容・方法を探ること。 4.研究の年次計画
<第1年次>(平成2年度)
(1) 「個を生かす学年・学級経営」を推進するための研究課題及び研究内容を検討し,研究構想を樹立する。
(2) 文献等による理論研究を踏まえて,「調査研究の基本的構想」を立案し,課題解明のための調査を実施する。
・調査の基本設計 ・調査表の作成 ・調査依顧と実施
(3) 調査結果を集計し,分析・考察を通して,「個を生かす学年・学級経営」の充実策を樹立する。
(4) 第1年次研究紀要の発行
(5) 充実策の検討と協力校の選定
<第2年次>(平成3年度)
(1) 研究協力校における「個を生かす学年・学級経営」の充実策の実践・事例収集
(2) 充実策の改善及び次年度の研究課題の設定
(3) 第2年次研究紀要の発行
<第3年次>(平成4年度)
(1) 前年度の研究課題を踏まえた充実策の再検討
(2) 研究協力校における充実策の実践・事例収集
(3) 研究のまとめと第3年次研究紀要の発行
3.第1年次研究実践内容
1.「個を生かす学年・学級経営」に関する調査
(1) 調査の目的
「個を生かす学年・学級経営に関する研究」についての基礎的資料を得るととともに,県内の小・中・高校の教師の「個の重視」に対する意識および「個の重視」にかかわる条件整備状況等の実態を把握し,学年・学級経営の改善・充実のための資料を得ることを目的とする。
(2) 調査の視点 調査設問事項は巻末参照
<視点1> 個の存在を大切にする学年・学級経営に関すること
<視点2> 個の特性を生かす学年・学級経営に関すること
<視点3> 認知的側面と情意的側面の調和を図った学年・学級経営に関すること
<視点4> 個性豊かな生き方のための基礎