研究紀要第82号 「個を生かす学年・学級経営に関する研究 第1年次」 -005/123page

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(1) 小・中・高校を比較しての問題点とその考察

個の存在を大切にする学年・学級経営

<設問1> 個の存在を大切にする学年・学級経営について、どのように考えていますか。

校種別傾向(図1−1)
校種別傾向(図1−1)

<設問2> 学年や学級において「個の存在を大切にする」ための目標または努力事項などを設定していますか。

校種別傾向(図1−2)
校種別傾向(図1−2)

< 考 察 >

校種別傾向

 図1−1からわかるように、小・中学校は,1(丸囲み数字)「多様な価値を認め・・‥・・」が1位であるのに対し,高校は2(丸囲み数字)「重要性は理解できるが難しい」が1位である。生徒の発達段階や意識・行動の多様化に対応する教師の苦労や悩みが回答結果に反映しているものと思われる。3(丸囲み数字)「集団としての行動やしつけに重点」を重視している割合が最も高いのは中学校で16%である。これは,生徒指導の一側面や高校入試とのかかわりから全員を一定の水準にまで到達させなければならない中学校の現状と無縁ではないだろう。

 「個の存在を大切にする」ということについては,図1−2からは,1(丸囲み数字)及び2(丸囲み数字)(設定している,重視している)が,小学校が約94%,中学校は約87%,高校では83%となっており,消極的ではあるが大多数の学校では,個の存在を大切にすることを意識していることがうかがわれる。

 「個の存在を大切にする」ことについての意識が小・中・高校と進むに従って薄れていく傾向がある。しかし,共通的に困難を感じているものの,その重要性については認識されているものと思われる。したがって,意図的・計画的な実践の異体化のために教育計画の見直しが必要である。

 中学校では小学校・高校と比べて「集団としてのしつけや規律」を重視する傾向が強い。小・中・高校の発達段階に応じて,「多様な価値観を認め,生かす努力をする」ことと「集団としての規律を重視する」こととの調和を図り,「個の存在を大切にする」ための意識改革が望まれる。


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