研究紀要第82号 「個を生かす学年・学級経営に関する研究 第1年次」 -008/123page

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(2) 小学校における調査研究結果とその考察

個の存在を大切にする学年・学校経営

<設問1> 個の存在を大切にする学年・学級経営について,どのように考えていますか。

全体傾向(図2−1)
全体傾向(図2−1)

年代別傾向(図2−2)
年代別傾向(図2−2)

< 考 察 >

全体傾向

 図2−1をみると,1(丸囲み数字)と2(丸囲み数字)の合計が,約86%になる。この結果から,全体的に個の存在を大切にする学年・学級経営の重要性を認識している教師が多いことがわかる。

 しかし,2(丸囲み数字)理解できるが難しいが,約36%であり,3(丸囲み数字)集団としての行動やしつけに重点をおくべきが,約12%の割合を占めていることも無視できない。このことから,個の存在を大切にする学年・学級経営の雑しさを感じ,集団行動やしつけを重視している教師がいることがわかる。

年代別傾向

 図2−2からわかるように,重要性を理解している割合(1(丸囲み数字)と2(丸囲み数字)の合計)が,年代が高くなるはど低くなる。また,3(丸囲み数字)集団行動やしつけを重視するの割合は,年代と共に高くなっている。特に,3(丸囲み数字)の選択が,50代で約28%と他の年代と比べて高い割合になっている。

 この結果から,若い世代はど多様な価値観を認め,生かす努力をすべきと考えていることがわかる。また,30代,40代は,理解できるが難しいと考える割合が増している。さらに,50代は,3(丸囲み数字)の「しつけ」という考え方が他の年代に比べて極めて多い。このように,この設問では,各年代ごとの考えのずれが大きいのが特徴である。

問題点  
 ○  個の存在を大切にする重要性を理解しながらも,個を生かす難しさを感じている教師が多い。
 ○  集団行動やしつけに重点を置くべきだと考える傾向が年代とともに増えている等,教師間の共通理解が図られていないと思われる。
改善の方向  
 ○  個の存在を大切にする学年・学級経営についての意識を高め,共通理解を図る必要がある。

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