研究紀要第82号 「個を生かす学年・学級経営に関する研究 第1年次」 -010/123page
個の特性を生かす学年・学級経営 <設問8> 「学年・学級経営」と「個の特性を生かす」との関係について,どのように考えていますか。
<設問11> 学年・学級経営を進める上で「個の特性を生かす場」を意図的・計画的に設定していますか。
<設問13> あなたの学年・学級では,個の特性が生かされていると思いますか。
< 考 察 >
全体傾向(設問8) 図2−6をみると,個の特性を生かすことは大切であると考える割合が,1(丸囲み数字)と2(丸囲み数字)の合計で約98%と大変高くなっている。その一方で,2(丸囲み数字)の割合が約44%あり,個の特性を生かすことの困難さを感じている教師の多いこともわかる。
全体傾向(設問11) 図2−7からわかるように,個の特性を生かす場を年間計画に位置づけて進めている割合は,約19%にすぎない。
また,計画があっても設定通りいかないと考える教師は,約54%の割合を占めている。
このことから,個の特性を生かす場の設定とその実践が難しいということがわかる。
全体傾向(設問13) 図2−8をみると,学年・学級で個の特性が十分に生かされていると考えている割合は,約12%である。
個の特性が十分生かされているとはいえないと考える2(丸囲み数字)が約85%を占めている。設問11と設問13の関連から考えると,年間計画として位置づけてはいるが,個の特性が十分に生かされているとはいえないようである。
問題点 ○ 個の特性を生かす学年・学級経営は,大切なことであるという認識は高いが,実際には,個の特性は十分には生かされていないと考えている教師が多い。 ○ 個の特性を生かす場を,意図的・計画的に年間計画に設定しいる割合が高いが,設定通りにいかないという難しさを感じていることがわかる。 改善の方向 ○ 個の特性を生かす場の見直しや,年間計画の見直しが必要だと思われる。