研究紀要第82号 「個を生かす学年・学級経営に関する研究 第1年次」 -013/123page

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(3) 中学校における調査研究結果とその考察

個の存在を大切にする学年・学級経営

〈設問1〉 個の存在を大切にする学年・学級経営について,どのように考えていますか。

全体傾向(図3−1)
全体傾向(図3−1)

学校規模別傾向(図3−2)
学校規模別傾向(図3−2)

〈 考 察 〉

全体傾向

 図3−1からわかるように,1(丸囲み数字)と2(丸囲み数字)を合計すると,約78%になり,個の存在を重要視する考えが多数を占めている。

 反面,個よりも集団としての行動やしつけに重点をおく意見が約16%を占めている。また,2(丸囲み数字)重要性は理解できるが難しいという回答が約38%を占めている。

 このことから,中学校においては個の存在を大切にすることと集団をそろえることの両立について苦慮していることがうかがえる。

学校規模別傾向

 図3−2からわかるように,小規模校が個の存在を認めたり,重要視する考えが約85%を占めていて,次に大規模校が約78%,中規模校が約71%の順になっている。

 小規模校は担当する生徒数が少ないので,生徒一人一人の個性を理解しやすいし,個の存在を大切にできる場も多いので,このような結果は当然のことと考えられる。中規模校は,小規模校・大規模校よりも3(丸囲み数字)の割合が高く,集団としての行動やしつけに重点をおく教師が多い。

問題点
 ○  個の存在を大切にし,重要視する考えが多数を占めてはいるが,個の存在を大切にすることに困難さを感じている教師も多くみられる。
 ○  個の存在を大切にする学年・学級経営について,学校規模別によって教師の意識の違いがみられる。
改善の方向
 ○  意識的に「個の存在を大切にする学年・学級経営」についての話し合いの場を持ち,教師の関心を高める必要がある。
 ○  小・中・大規模校それぞれの特色を生かした「個の存在を大切にする学年・学級経営」のあり方を明らかにし,教師間の共通理解を深める必要がある。

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