研究紀要第82号 「個を生かす学年・学級経営に関する研究 第1年次」 -019/123page

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90%に達しており,1(丸囲み数字)は約7%にすぎない。これは,ほとんどの学校が個の存在を大切にするための意図的・計画的な話し合いの場を定期的には設定していない現状を示している。

年代別傾向(設問3)

 2(丸囲み数字),3(丸囲み数字)については,20代と50代に大きな差異がみられる。例えば,3(丸囲み数字)の「ほとんど設定していない」割合が,20代は約63%,50代は約11%である。

<設問4> 学年や学級の諸活動の中に,一人一人の興味や関心に応じて自己決定して行動する場を,意図的・計画的に設定していますか。

全体傾向(図4−5)
全体傾向(図4−5)

年代別傾向(図4−6)
年代別傾向(図4−6)

< 考 察 >

全体傾向

 図4−5からわかるように,1(丸囲み数字)が約19%であり,2(丸囲み数字),3(丸囲み数字)を合わせると約80%を占めている。これは,一人一人の興味や関心に応じて自己決定して行動する場を,意図的・計画的に設定しているのが少ないことを示している。

 これらのことから,各学校の教師は「個の存在を大切にする」という考えは理解しているが,実際の取り組みへは結びついていないことがわかる。

年代別傾向

 図4−6で,3(丸囲み数字)「ほとんど設定していない」をみると,20〜40代は23〜28%であり50代は約14%とほぼ半分になっている。また,50代は,20〜40代に比較して,2(丸囲み数字)「設定していないが重視している」が約71%と高くなっている。

 このことから,経験豊富な50代の教師が「自己決定の場」をより重視していることがわかる。

問題点
 ○  個の存在を大切にすることの重要性を大多数の教師が理解しているが,その実践については難しいと感じている。
 ○  個の存在を大切にした話し合いの場や自己決定して行動する場を計画的に設定していることが少ない。
 ○  年代の違いにより,考え方や実践に大きな差がみられる。
改善の方向
 ○  個の存在を大切にする学年・学級経営の基本的な考えについて,年代間の共通理解を図る必要がある。

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