研究紀要第83号 「基礎・基本の定着と個性の伸長に関する研究 第4年次」 -041/123page

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(2) 「よさ」の把握

算数の授業においては,児童の数理的な処理の違いがいろいろ現れてくる。この違いの背景にあるものが,児童一人一人の持っている「よさ」と考える。そのためには,事前における「よさ」の把握として,児童の性格・行動にかかわる調査,学習全般にかかわる学習形態,学習活動の調査,更に,算数科学習に対する興味・関心の調査を行った。また,授業中においても,児童の考えを把握するために座席表の活用を図った。これらの把握した「よさ」を授業の中で生かし,意識化させるようにした。

<1> 事前における「よさ」の把握

 「角の大きさ」の授業においては,学習全般にかかわる調査,算数科学習にかかわる調査を行った。調査の結果は,下図の「個人カルテ1」に見られるように,右上の部分「私のよいところは‥・」として児童に記録させた。常にカルテを児童自身が自分の近くに置きカルテを見るたびに「よさ」を意識した。それとともに,教師も児童の「よさ」を指導に生かせるようにした。

 「小数」の授業においては,児童一人一人の持っ「よさ」を更に児童自身に意識させるため調査をした。多くの質問項目の中から自分にあてはまると思われる項目を五つ選ばせた。その五つの中から担任が生かしたいと思う三つの項目にしぼり,下図の「個人カルテ2」に見られるように,一番上に記入した。特にこの単元で意識させたい自分の「よさ」を赤丸で囲み,評価の欄を設けるなど強く意識化を図った。

個人カルテ 1 個人カルテ 2

<2> 授業中における「よさ」の把握

 座席表に児童の活動の様子を観察し記録した。それによって自力解決の過程では,ヒントカードの活用を促したり,学級全体の数理的な処理の仕方の傾向を把握したりした。また,集団解決の過程では,同じ数理的な処理の傾向を持っ児童を全体に知らせたり,意図的指名により,児童の考えを課題解決に生かせるようにしたりした。更に,個人カルテの先生からの欄に記入する際に座席表の記録を利用した。


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