研究紀要第85号 「事例を通した教育相談の進め方に関する研究 第1年次」 -094/123page

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2 開発的指導援助のとらえ方

 開発的な指導援助とは,人間的なふれ合いを基盤に「児童生徒が自己理解を図り,自ら向上を求め,将来の見通しを意識しながら自己実現に向かって自発的に進んで行くことができる」よう指導援助することである。

 自己実現に向かって自発的に進んで行く児童生徒の姿とは,児童生徒自身が自分への理解の基に将来への向上を目ざして学校生括を送っていることと理解する。

 児童生徒が自己実現に向かって進むことができるためには,児童生徒と指導援助者との望ましい人間関係と,指導援助者自身の教育に対する情熱と使命感,かつ自己実現の姿を基盤にして,児童生徒自身が

 ・身体面が健康であること(健康)
 それには,児童生徒自身が自らの健康に留意するとともに,健康の維持・増進のために基本的な生活習慣を身につけておく必要がある。

 ・安心して家庭や学校生活が送ることができること(安全)
 それには,精神面の安全と物理的な安全が保障されなければならない。
 精神面の安全とは,親子関係や友人関係,また教師との関係において,情緒の安定がはかられていることである。
 物理的な安全とは,事故の発生がない環境であること。

 ・家庭や学級が温かく受け入れてくれる環境であること(所属と愛情)
 それには,家庭や学級内で受容され認められて存在感を持てることが必要である。

の条件が基本となる。

 これらの条件が満たされる時,心身ともに自己受容が可能になる基盤が確立し,児童生徒は,

・自己理解をすることができる(自己理解)

 すなわち,自分の身体・性格・能力・社会的地位等の特徴を客観的に理解することが可能になる。

自己理解が深まると,

・自己受容の上に立って,自分への誇りと自信を持つことができる(自尊)

 以上が充足されると,児童生徒は自分の個性や生き方について探求しながら,将来への志向性を持って,学校生活が送れるものと思われる。

 そこで,開発的な指導援助の考え方を図で示すと次のようになる。

図 開発的な指導援助の考え方

 すなわち,開発的な指導援助としては,次の6つの要点が考えられる。

・健康(健康の維持・増進)

・安全(安心して学校生括が送れる環境の保障)

・所属と愛情(学級に温かく受け入れられる環境構成)

・自己理解(客観的な自分自身への理解)

・自尊(自分への自信と誇りの育成)

・将来への向上(将来への目標を持っての努力)


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