研究紀要第85号 「事例を通した教育相談の進め方に関する研究 第1年次」 -099/123page
次に,子どもの身体面の発達や変化について教師の観察を見た。
図6 【教師】 身体面の発達や変化(生理や声変わりなど第二次性徴を含む)について注意していますか
小学校教諭 中学校教諭 高校教諭
図6から,「希にしている」「していない」を合わせると中学校では45%,高等学校では68%とかなり多く,あまり観察はされていない。
心身の変化の激しいこの時期に,子どもの精神的不安や,身体に関する悩みなどから,問題行動に走る子どもも多いことを考えると,親,教師共に注意深く観察することが重要と考えられる。
教師は調査・検査等の生かし方を含めて,身体面の発達や変化を適切にとらえることが必要である。
図7 【教師】 養護教諭と連携し,保健室の利用状況などを注意観察していますか。
小学校教諭 中学校教諭 高校教諭
図7から,養護教諭との連携について見ると,小・中学校の「いつもしている」「努めてしている」を合わせると,ほぼ同数の83%であるのに対し,高等学校では64%であり,「希にしている」「していない」を合わせると35%にのぼり,養護教諭との連携は高等学校ではやや消極的な状態にある。
≪指導援助の方向≫
○ 「健康」に関することば,児童生徒が自己実現を図っていく上で,第一の基盤ともなるので,まず,日常の健康観察を徹底しながら健康的環境の確保に十分留意する。
○ 朝の登校観察,授業時,休み時間,昼食時,放課後などあらゆる機会に,個々の子どもに対する発達段階を踏まえた理解を深める必要がある。
○ 調査・検査については,その実施のみにとどまることなく,児童生徒の実際の指導場面に十分活用する。
○ 健康安全に関する校内の組織機能を十分に活用した運営の仕方を工夫することも必要である。