研究紀要第85号 「事例を通した教育相談の進め方に関する研究 第1年次」 -101/123page
在であることにもよるものであろう。
問題行動への早期の対応には,児童生徒に対する,より注意深い配慮が望まれるところである。
図4 【教師】 子どもが家庭で安定した日常生活を送っているかどうか,家庭の状況にも関心を払っていますか。
小学校教諭 中学校教諭 高校教諭
図4から,「いつもしている」「努めてしている」を合わせると,小学校で75%に達した以外は60%前後であり,特に中・高等学校では「希にしている」「していない」を合わせると40%を越える。
子どもの生活の最も大きな基盤と言うべき家庭の状況を把握することば重要なことであるが,親子関係や家庭の状況の把握は,プライバシーに関する調査や,学校教育の範囲の問題などから慎重に当たらなければならず,対応は難しい。
次に,児童生徒の学校生活における安心度の把握のために,調査・検査の実施状況等を見た。
【教師】 あなたは今まで,自分の学級の児童生徒全員に対してどのような内容の調査・検査を実施したことがありますか。(表1)また,今後,実施したい調査・検査は何ですか。(表2)
表1 「ある」と回答した上位5位まで(16項目から複数選択)
順位
小学校
中学校
高等学校
1 知能 知能 知能 2 標準学力 標準学力 将来の希望 3 友人関係 将来の希望 職業適性・興味 4 生活習慣 学習意欲・適応 性格 5 身体の健康 身体の健康・友人関係 身体の健康 表2 「実施したい」と回答した上位5位まで(16項目から3項目選択)
順位
小学校
中学校
高等学校
1 学習意欲・適性 不安や欲求不満 不安や欲求不満 2 友人関係 学習意欲・適応 将来の希望 3 不安や欲求不満 職業適性・興味・将来の希望 職業適性・興味 4 性格 友人関係 性格 5 生活習慣 性に関すること 家庭内の人間関係 表1から,実施されている調査・検査は学習に関するものが多い。表2から,今後は,精神面での安全に関する調査・検査を実施したいと考えていることが分かる。
≪確指導援助の方向≫
○ 安心できる学習環境の整備が大切である。そのためには,情緒の安定が図られるような学級内のより良い人間関係を育むことが基本である。
○ 調査・検査を活用し,精神面での安全をさらに保障することが大切である。