研究紀要第85号 「事例を通した教育相談の進め方に関する研究 第1年次」 -102/123page
(3)所属と愛情に関すること
所属感・自己存在感とは,集団における相互関係の中で受容され,認められることによって得られるものである。そこで,「学級からの認め」と「自分から他者への働きかけ」について考察した。
図1 【児童生徒】 学級の人たちは,あなたが頑張ったときは,共に喜んだり認めたりしてくれますか。
小学生現在 中学生現在 高校生現在 今後
図1の現在から,「いっもしてくれる」「ときどきしてくれる」を合わせると小学生55%,中学生66%,高校生64%である。
小学生の意識が55%と中・高校生に比べ低い割合であるという結果は,注目したい。
その背景として,社会性がまだ確立されていない低年齢の子どもはど,仲間同志で認め,励ますといった言葉かけが互いにできていないのではないかと考えられる。
図1の今後から「ぜひそうしてはしい」「そうしてはしい」を合わせると,小学生71%,中学生66%,高校生60%と全体的にさはど期待していないことが分かる。なかでも,中学生は割合が変わらず,高校生はむしろ低下している。
小学生現在 中学生現在 高校生現在 今後
また,全体的に児童生徒の3〜4割が,「認められたい」という期待感を抱いていない。
図2の「友人を作ることができるか」の設問でも「あまりできない」「できない」を合わせると,小学生25%,中学生23%,高校生27%に達している。
このことは,集団での人間関係がうまくとれない自己中心的な傾向にあるのか,あるいは,認められたり,はめられたりというようなことにあまり関心を示していないようにも考えられる。
また,図2の今後では,「ぜひそうしたい」「そうしたい」を合わせると,小学生90%,中学生92%,高校生89%である。
「友人をつくることができるようになりたい」という気持ちが強く現れている。