研究紀要第85号 「事例を通した教育相談の進め方に関する研究 第1年次」 -103/123page

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 図1と図2との今後から,児童生徒の学級の仲間から認められたいという意識が低いのは,前提となる友人関係がつくられていないために,友人を作るという方向に意識が向いているのであろう。

図3【教師】 特別活動の時間などを活用して,子どもたちが互いに親しみ,心のふれ合いが持てるように工夫していますか。

(3)所属と愛情に関すること

  所属感・自己存在感とは,集団における相互関係の中で受容され,認められることによって得られるものである。そこで,「学級からの認め」と「自分から他者への働きかけ」について考察した。

図1 【児童生徒】 学級の人たちは,あなたが頑張ったときは,共に喜んだり認めたりしてくれますか。

図1 【児童生徒】 学級の人たちは,あなたが頑張ったときは,共に喜んだり認めたりしてくれますか。

棒グラフ1 小学生現在棒グラフ2 中学生現在棒グラフ3 高校生現在棒グラフ4 今後

 図1の現在から,「いっもしてくれる」「ときどきしてくれる」を合わせると小学生55%,中学生66%,高校生64%である。

 小学生の意識が55%と中・高校生に比べ低い割合であるという結果は,注目したい。

 その背景として,社会性がまだ確立されていない低年齢の子どもはど,仲間同志で認め,励ますといった言葉かけが互いにできていないのではないかと考えられる。

 図1の今後から「ぜひそうしてはしい」「そうしてはしい」を合わせると,小学生71%,中学生66%,高校生60%と全体的にさはど期待していないことが分かる。なかでも,中学生は割合が変わらず,高校生はむしろ低下している。

図2 【児童生徒】 自分から友人を作ることができますか。
図2 【児童生徒】 自分から友人を作ることができますか。

棒グラフ1 小学生教師棒グラフ2 中学生教師棒グラフ3 高校生教師

 このような状況において,教師は児童生徒の所属や愛情の欲求を満たしていくために,どのようにかかわっているか,図3〜図5の教師側のデータから考えてみた。

 図3から,「いつも」「努めて」を合わせると,小学校83%,中学校75%,高等学校70%である。

 教師は,特別活動の時間などを生かして,望ましい人間関係づくりをめざした学級のふれ合いの場を工夫していることが分かる。

 図4でも,「いつも」「努めて」を合わせると,小学校91%,中学校81%,高等学校72%といずれも集団活力の中で個性の伸長を図るために子どもに意図的にかかわるよう努めている。

図4 【教師】 集団の活力の中で子どもの個性や長所が認められ伸ばされ,鍛えられていくよう心がけていますか。
図4 【教師】 集団の活力の中で子どもの個性や長所が認められ伸ばされ,鍛えられていくよう心がけていますか。

棒グラフ1 小学生教師棒グラフ2 中学生教師棒グラフ3 高校生教師

図5 【教師】 学級内の子ども一人ひとりの係活動を大切にし,活動しやすいように側面からの援助を心がけていますか。
図5 【教師】 学級内の子ども一人ひとりの係活動を大切にし,活動しやすいように側面からの援助を心がけていますか。

棒グラフ1 小学生教師棒グラフ2 中学生教師棒グラフ3 高校生教師


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