研究紀要第85号 「事例を通した教育相談の進め方に関する研究 第1年次」 -104/123page

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 しかし,図1の結果からも,その意図が十分に児童生徒に伝わっていない。そこに,教師のかかわり方の工夫が必要と考えられる。

 図5の係活動に関しては「いつもしている」「努めてしている」を合わせると,小学校87%,中学校77%,高等学校62%である。

 学級担任と児童生徒のふれあう時間は,小・中・高等学校と進むにつれ,少なくなると考えられる。

 また,教師が児童生徒の発達段階に応じた自発的な活動を期待するためとも考えられる。

図6【児童生徒】 困っている人には,親切にすることができますか。
図6【児童生徒】 困っている人には,親切にすることができますか。

棒グラフ1 小学生現在棒グラフ2 中学生現在棒グラフ3 高校生現在棒グラフ4 今後

 図6では,親切にすることが「よくできる」「できる」を合わせると,小学生67%,中学生71%,高校生61%である。

 図7の親からみたデータでは,「よくしている「している」を合わせると,小学校80%,中学校78%,高等学校73%である。

 これらから,親切な行動に関して子どもの自己評価よりは,親のほうが小・中・高等学校共によい評価をしている。

図7【保護者】 あなたのお子さんは,困っている友人には親切にしていると思いますか。
図7【保護者】 あなたのお子さんは,困っている友人には親切にしていると思いますか。

棒グラフ1 小学生親棒グラフ2 中学生親棒グラフ3 高校親

 それは,「人には親切に」という親側の力を入れた指導が背景にあると考えることもできるが,親が子どもを信じている姿勢の現れとも理解できよう。

 図6の今後は,「ぜひそうしたい」「そうしたい」を合わせると小学生90%,中学生87%,高校生90%と非常に高い割合を示している。

 親切にしたい,という気持ちをほとんどの児童生徒は持っていても,なかなか行動に移せないことを裏付けている。

 図1と図6とを対比してみると,「親切にする」と「仲間をほめる」「励ます」は,相通じるものと思われる。

 すなわち,学級の仲間から認め励まされたという経験があれば,相手に対しても認め励ます親切な行動を取ることができるようになるであろう。


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