研究紀要第85号 「事例を通した教育相談の進め方に関する研究 第1年次」 -109/123page

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方法がわかるようになりたいという強い願いを持っているのと同じように,親も強い期待感を持っているものと考えられる。

 このことからも,教師は一人ひとりの児童生徒の痔性等をよく理解して,個に応じた指導援助を行うことの必要性が分かる。

図9【教師】 あなたは,自分の学級の児童生徒全員に対して行った諸調査・検査の結果を,どのように活用しましたか。
図9【教師】 あなたは,自分の学級の児童生徒全員に対して行った諸調査・検査の結果を,どのように活用しましたか。

棒グラフ1 児童生徒全員に個別指導した
棒グラフ2 児童生徒全員への個別指導と学級への全体指導をした
棒グラフ3 問題のある児童生徒への個別指導と学級への全体指導をした
棒グラフ4 問題のある児童生徒への個別指導のみした
棒グラフ5 個別指導はしなかったが,学級への全体指導をした
棒グラフ6 個別指導などはしなかった
棒グラフ7 無回答(その他,実施せずを含む)

 図9から,小学校89%,中学校91%,高等学校86%の教師が,学級全員を対象とした調査・検査を実施していることが分かる。

 全員に対して行った調査・検査の結果を「何らかの形で個別指導に活用した」は小学校72%,中学校78%,高等学校67%とかなり高く,多くの教師が調査・検査を個別指導に活用していることがわかる。

 全員への個別指導に活用したという教師は,小学校13%,中学校28%,高等学校35%となっており,小・中・高等学校へと進むにつれて,全員への個別指導の割合が高くなることが分かる。

 これは,中学校や高等学校では,全員を対象として行う進路指導の資料として,自己理解を深めさせるために活用していると考えられる。

 実施経験のある調査・検査を,多い順に3つあげると,次のようになった。

小学校→知能検査,学力検査,友人関係
中学校→知能検査,学力検査,将来の希望
高等学校→知能検査,将来の希望,職業関係

 児童生徒が自分を見つめるために活用される調査や検査,たとえば,性格に関するものや意欲に関するものなどの実施はまだ少ない。

 児童生徒の「自己理解」をより客観的にするためにも,調査・検査の活用は重要である。

 今後は,目的に合った調査・検査の選定や実施時期等とともに,活用法などを検討していくことが望まれる。

≪指導援助の方向≫

○ 面接,観察,調査・検査,他の教師からの情報,既存の資料,家庭訪問などを,意図的・計画的に実施し,多面的な児童生徒理解を図る。

○ 児童生徒が,自分の興味・関心,性格,特性などを的確に理解できるような方策を工夫・開発をする。

○ 他者から認められることが自己理解の前提として大切であることから,教師,保護者,友人などが,本人の良さを認めていくような人間関係をつくる。

○ 教師と保護者が児童生徒を正しく理解するように,相互の情報交換など,連携を深める。


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