研究紀要第85号 「事例を通した教育相談の進め方に関する研究 第1年次」 -110/123page
自尊感情は,他者によって認められ,賞賛されることによって育まれるものであり,それは,自分自身に誇りや自信を持ち,自分自身を大切にするとともに他者をも尊重することである。
そこで,児童生徒の自尊感情と,それを高めるための教師のかかわり方について考察した。
図1【児童生徒】 先生方は,勉強や部活動,係の仕事など,あなたががんばったときは認めたり,ほめたりしてくれますか。
小学生現在 中学生現在 高校生現在 今後
図1の現在から,「いつもしてくれる」「ときどきしてくれる」を合わせると,小学生63%・中学生71%・高校生52%である。
また,同じく今後を見ると「ぜひそうしてほしい」「そうしてはしい」を合わせると小学生77%・中学生67%・高校生64%である。
図2からは,「いっもしている」「努めてしている」が,小学校91%・中学校87%・高等学校82%である。
図1の今後から分かるように,多数の児童生徒がもっと認められたり,ほめられたいと願っている中で,小学生・高校生は増えているが中学生の今後は,わずかであるが減少していることは一考を要する。
図2【教 師】 休み時間や放課後など,何気なく話し掛け,最近の様子の中で良いと感じたことなどを積極的に認め,ほめるように心がけていますか。
小学校教師 中学校教師 高校教師
また,今後について,「ぜひそうしてほしい」と期待する児童生徒の割合は,大幅に増加していることば見逃せない。
図2から教師が「よく努力している」と答えているにもかかわらず,児童生徒があまりそのように受け止めていないのは,教師のかかわりが全員の児童生徒に対するものではなく,一部の児童生徒に偏っているためではないだろうか。
また,その賞賛の仕方が,児童生徒の自尊感情をゆさぶったものになっていないとも考えられる。
人間は誰でも本来良くなろうとする意欲を持っており,自分自身に対する誇りを持つ・・・とはよく言われるところである。しかし,そのような傾向が事実として存在しても,適切なかかわりが