研究紀要第86号 「個を生かす学年・学級経営に関する研究 第2年次」 -003/109page
学年・学級経営を進めるにあたって,児童 生徒の実態に応じて次の4つの視点のそれぞ れを充たす事例を収集・開発して,これをも とに意図的計画的に指導・援助したり活動さ せたりすれば,4つの視点が達成され社会の 変化に主体的に対応できる個性豊かな児童生 徒の育成につながるであろう。
- 視点1 個の存在を認め大切にする。
- 視点2 個の特性をとらえ生かす。
- 視点3 認知的側面と情意的側面との調和ある活動にする。
- 視点4 個性豊かな生き方のための基礎・基本を習得させる。
III 本年度研究の概要
1 個を生かす学年・学級経営アイディア集
(1)構成
編集・作成する意図は研究内容のところで触れ たので,ここでは,構成について述べる。
視点 「個を生かす学年・学級経 営」に導くための視点で4つ ある。
それには 上の視点にアプローチする ために分析して,それぞれの 視点に対し「それには」どう すればよいかを明らかにする。 各視点ごとに2〜3項目ある。 そのために 「それには」を分析し方法, 方策,努力点等充実策を「そ のために」はどうすればよい かとしてまとめてある。「そ れには」ごとに2〜4項目あ る。
そこで 「そのために」を可能にす る具体的な指導・活動事例を 収集・開発し「そこで」とし てまとめてある。指導上の留意点も記入し分か りやすく利用しやすいようにした。 (2)アイディア集 ―抜粋―
視 点 1
個の存在を認め,個の存在を大切にする内容・方法を明確にすること
それには 1―1
教育家庭一般編等を,学年・学級経営の立場から吟味し,個の願いや目標を学年・学級の目標設定に反映させる。
そのために 1―1―1
「個の存在を大切にする」立場から,教育目標,学年・学級目標を見直す。
そこで
- 1.学校や児童生徒の実態を分析し,教育目標に個を生かす視点からの具体内容を設定する。 または,教育目標から設定する「本校の目指す児 童(生徒)像」の中に「個の存在を認め,個の存在を大切にする」内容の項目を入れる。
- 2.学年・学級の「志向する,目指す児童生徒像」を学年・学級目標から具体的に設定する。
- 3.学年・学級目標と関連させて,児童生徒一人一人に具体的な生活・学習目標を立てさせる。
- 4.個の存在を認め,個を大切にする観点からの望ましい学級づくりをする。
留 意 点
- 1−1 児童生徒にとって,身近でわかりやすい表現にする。
- 2−1 児童生徒,保護者にも「学年・学級の目指す児童生徒像」を周知させる。 「学年・学級だより」などの活用も考えられる。
- 3−1 学年・学級目標にせまる具体的な事項を児童生徒と話し合い,まとめておく。
- 2 一人一人の具体的な目標設定は,はじめは達成しやすい目標とし,次第に高次な目標にしていく。 成就感,達成感等を味わえるようにする。
- 4−1 失敗を笑わない学級,いじめのない学級,何でも話し合える学級づくりを目指す。