研究紀要第86号 「個を生かす学年・学級経営に関する研究 第2年次」 -005/109page
視 点 2
個の特性をとらえ,生かす内容・方法を明確にすること。
それには 2−2
教師一人で「個を生かす」ことは困難なことから,互いに補い合う学年・学級経営を心がける。
そのために 2−2−1
個が生かされている事例・個が生かされていない事例をあげ,その背景について話し合う場を学年会等に位置づける。
そこで
- 1.学年会では「児童生徒のよさを認め指導を進めている事例」などについての話し合いの場を常設し,事例の交換をする。その際,教師の働 きかけを今まで通り継続するのかしないのか,方法を変えるかなどの協議をする。
- 2.協議の内容には,次のようなものが考えられる。
- 学年・学級の諸活動の中で,自分の興味・関心に応じて自己決定して行動する機会を可能な限り多くし,互いによさを認め合わせた事例。
- 児童生徒の日誌や作文等の、「楽しかったとき,自分が生き生きしたとき」「おもしろくなかったとき,いやになったとき」などの感想。
- 個性発見カードに記入された事例。
留 意 点
- 1−1 学年会の中で,各担任が個が生かされた事例や個が生かされていない事例を出し合う。
- 2 個を生かそうとする雰囲気を,学年主任が中心となって学年全体に穣成する。
- 2−1 児童生徒のありのままの姿を話し合い,日常継続して取り組むことのできる「個を生かす」方法のアイディアを出し合う。
視 点 3
認知面に偏ることなく,情意的側面との調和を考えた実践活動のあり方を探ること
それには 3−1
情意的側面の評価のあり方について.全教職員の共通理解を図る。
そのためには 3−1−1
認知側面と情意的側面とが調和している事例や調和していない事例を収集し,指導方法を明らかにする。
そこで
- 1.児童生徒の活動や変容のようすを次のような方法で観察や評価をし,学年会で話し合う。
- 児童生徒の情意的側面に関する自己評価を積極的に取り入れる。また,情意的側面の観察を重視する。
- 学級日誌や班日誌等に一日の反省を記入させ,活用する。
- VTRでいきいきと行動している児童生徒の様子を録画し,活用する。
- 2.行事や集会,学級活動.奉仕活動等の機会を積極的に活用し,事例の収集に努める。
- できるだけ企画の段階から参加させる。
- 話し合いの過程を大切にする。
- 感想文を書かせたり体験発表の場を設定する。
留意点
- 1−1 情意的側面を調べるのに,低学年では、直接児童から話を聞いた方がとらえやすい場合が多い。
- 2 VTRを活用すること児童生徒の活動の様子や表情を,学級・学年に紹介することができる。 また,児童生徒が自己認識を深めることにも役立つ。
- 2−1 班や学級集団としての考えも発表できる場を設定する。