研究紀要第86号 「個を生かす学年・学級経営に関する研究 第2年次」 -009/109page

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 改善前の提出率は,2年在籍者の51%であり, 改善後の提出率は,2年在籍者の63%であった。  

 改善された「個性発見カード」による実践では カードの提出者は172名から212名にふえた。  

 次に,記入された内容を分析してみると, 

○ 「どの活動の場で」では 

 始業前,放課後,休み時間が39%,クラブ活動 や部活動が14%,教科,道徳が14%,清掃やボラ ンティアが8%,その他に学校生活や地域での生 活の場で自分や友人のよさを見いだすことができ た。  

○ 「だれが」では 

 自分については57%,同級生が26%,担任の先 生が4%,教科の先生が3%,その他にも多くの人 からよさを見いだすことができた。  

○ 「見つけた姿」では 

 行動の面が56%(教室の戸締まり,ゴミ拾い, 清掃,手伝い,物を貸すなど),勉強の面10% (成績の向上,教えあいなど),態度の面8% (まじめ,やさしさ,あいさつ,いたわり,積極 性,自主性等)その他にも自分や他人の「見つけ た姿」がだされた。  

 このことから,改善後の記入内容は改善前と比較すると,よさを見いだす「活動の場」「だれが」「見つけた姿」のいずれも多面的で,視野が広くなっている。しかし,自分の内面や友人の心の観察や成長の姿を見いだすことは困難であった。 

 したがって,今後の課題としてはこのような内面の成長過程も観察できる方法が必要である。 

(3)生徒の変容 

 「個性発見カード」の活用によって,毎白の学 校生括の中から自分のよさや他人のよさを見いだ すことができるようになってきている。 

 また,よさを見いだす「場」や「姿」が多様化してきている。 

 さらに,他人のよさを自分の中に認め,自ら学び,取り入れようとする態度が育ちつつある。 

(4)実践した内容と各視点との関連

 本事例は,視点1を中心として実践されたもの であるが,他の視点ともかかわりがある。下の表 は,実際の指導内容と4つの視点との関係を表し たものである。  

視点

1 2 3 4
内容
学年会の定期的開催

     
「個」の理解のための研修

   

「個性発見カード」の作成

   
カードの活用

   
自己理解と相互理解  

 
カードの見直し

     
よさを学ぶ場の設定

     

(5)考察 

 前年度アンケートの結果によると「個性重視の 理念は分かるが学年・学級経営上の迷いがある」 「時間や場の確保が困難である」「内容・方法が 分からない」という課題があった。そこで,「個 の存在を認め,個の存在を大切にする」との観点 から,定期的に学年会を持ち「個」に関する研修 の時間と場を確保したことは意義がある。  

 また,「個性発見カード」を活用することにより,生徒一人一人が自分や友人に関心をもち,それぞれのよさを見いだすようになったことも成果としてとらえることができる。 

事例2 このよさが生かされる学校行事

(学校祭の学級展をとおして) 

中学校 第2学年 

(1)視点とのかかわり 

 本事例は,視点1を中心に,視点3の情意的側 面から個の特性を生かすことをねらい,学校祭の 学級展において,生徒一人一人に目標を意識化さ せ,積極的な取り組みをさせた例である。  

 昨年度までの学校行事としての学校祭は,どちらかというと,教師主導型であった。そこで本年 


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