研究紀要第86号 「個を生かす学年・学級経営に関する研究 第2年次」 -010/109page

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度は,学級を中J山こ生徒一人一人が主体的に取り 組めるように,学校祭についての学級の目標と生 徒一人一人の目標を設定させた。また,学級展の 企画・運営について討議し,「発表の場としての 学級展」として位置づけた。

 「個性の伸長」に関するアンケート調査から,

 「学校行事等に参加するとき,いつも自分の目標を持って実行する」1%,「目標は決めない, 決めても意識しない」は45%いた。

 また,「学校行事の参加態度について反省をし ない」及び「ほとんどしない生徒」は52%であり, 学校行事に対する意識のなさがうかがえた。

 したがって,本年度は,学級活動で,学校祭に ついての学級目標と個人の目標を設定させること にした。

そこで

○学級目標の設定にあたっては,学級全員の 意見を反映,集約する。 

○学級目標を受けて,個人ごとに短期間で達 成できる具体的な目標を立てさせる。

 「生徒会行事や学年・学級行事等の企画・立案 をしたことがある」生徒は23%であった。生徒一 人一人を行事の企画・立案に参加させ,話し合い の場と発表の場を設定すれば,より積極的に取り 組み,「よさ」も見いだすことができるのではな いかと考えた。

そこで
  • ○行事や集会,学級活動,奉仕活動等の機会 を積極的に活用し,事例の収集に努める。 
    • できるだけ企画の段階から参加させる。 
    • 話し合いの過程を大切にする。 
    • 感想文を書かせたり体験発表の場を設定したりする。

(2)実践内容 

【1】 学級活動の内容

 学級活動の時間に,学校祭に向けて「学級展の 内容」「学級の目標と私の目標」を決定した。個 人の目標設定にあたっては,具体的な目標とする ために「どんな場面で」「どんなことを」「どん な形で」実現したいかを考えさせた。

 教師は「どのような学級展にしたいのか」「個人として努力すべき点は何か」をはっきりさせてから目標を設定するように指導・援助し,生徒一人一人の目標を机間指導により確認,激励した。

 特に,消極的な生徒や目立たない生徒については,目標や計画設定の必要性,長所の伸長等について個別指導した。

 学級の目標と個人の目標は,「学校祭に向けての私の取り組み」として,教室に貼付した。

 個人の目標は,短学活で係の仕事の進捗状況とともに一人一人に発表させ,教師は目標達成まで賞賛と励ましの言葉をかけ続けた。

 学級展の企画と係活動は「一人一役で積極的に学級展を盛り上げよう」との方針のもとに,委員長を中心に相談した。

 教師は,学級展の企画・運営が,学級の討議をもとに積極的に進められるように,「私の目標」の達成に重点を置いて指導した。

 学校祭終了後に「目標の反省をし,次に生かす」ことをねらいとして反省会をもった。

【2】 2年A組 消極的なB子の場合

 学級では,これまでも目標を決めてはいたが時 間をかけて討議することは少なく,目標も具体性 に欠けていたため,「積極的に参加する」「〜で はがんばる」といった目標が多かった。

 本年は,話し合いをとおして,以下のように学 級の目標を決定した。

  • 合唱コンクールでの優勝を目指して一人一 人が声をだし,精いっぱい力をふりしぼる 
  • 学級対抗種目では一致団結してがんばる 
  • 学級展では一人一人の役割を果たし,見学 に来られた人が満足するような展示にする 

 この学級目標からB子は「私の目標」を, 

  • あまり歌は好きでないが,声をだして精い っぱい歌う

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