研究紀要第86号 「個を生かす学年・学級経営に関する研究 第2年次」 -012/109page

[検索] [目次] [PDF] [前] [次]

事後3.3であり,プラス方向への変容が認められた。

わたしと学級

【3】教師の変容 

 C教諭は,学年だよりで「みんなで歌った。み んなで走った。そして,みんなでつくった祭。そ れが今年の白雲祭でした。学級展や各種の発表・ 作品展もすばらしく,特に2年生の活躍ぶりは, 大いに目を見張るものがありました。」と評価し た。

 これは,学校祭における学級の取り組みが成功した証である。

 また,目標の設定段階での,生徒一人一人に対 する指導・援助によって「生徒の意識が変わり, 学級がまとまったこと」や,学級展の企画・運営 段階からの「今まで見いだすことができなかった 生徒のよさを発見することができた」ことについ て,C教諭は,「学級の目標,私の目標に向かっ て一人一人が真剣に取り組む姿がありました。こ れを契機として,今後更に皆さんの活躍を期待す るとともに,企画運営にあたった一人一人に心か らごくろうさまの言葉をおくりたい」と述べてい る。このことから,今後の学級経営にかける教師 の意気込みを読み取ることができる。

(4)実践した内容と各視点との関連

視点

1 2 3 4
内容
目標設定,評価

学級展の企画・運営  

 

(5)考察 

 本事例をとおして,「個の存在を認め,個の存 在を大切にする方法」と「情意的側面の評価の在 り方」に関して,次のことが明らかになった。

【1】目標設定は,短期間で達成可能な具体的な 目標とし,教師は,生徒一人一人の目標について 指導・援助を行う。 

【2】一人一人の目標について,短学活等で自己 評価させるとともに,達成状況等を発表させる場 を設ける。 

【3】目標達成まで賞賛や励ましの言葉をかける。 

【4】行事の企画・運営への参加をとおして,生 徒一人一人の「よさ」を見いだし,認め,ほめる。

 これらは,視点1,3だけに有効に働く手だて ではなく,視点2の「個の特性をとらえ,生かす 内容・方法を明確にする」手だてとしても有効で あることが明らかになった。また,教師の  

○ 「生徒をより分かろうとしながら,より多 くの機会をとらえて指導・援助する」  

○ 「目立ちにくい子についても,より多面的 にとらえ,よさに気づかせる」 

などの指導・援助は生徒に勇気と自信を与え,そ の効果として学校生活を生き生きと送っている姿 を認めることができる。このことから,他の視点 にかかわる手だてへの広がりを認めることができ た。


[検索] [目次] [PDF] [前] [次]

掲載情報の著作権は福島県教育センターに帰属します。