研究紀要第86号 「個を生かす学年・学級経営に関する研究 第2年次」 -013/109page

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視点2 個の特性をとらえ,生かす内容・方法を明確にすること


事例1 よさを励まし合う学級経営 

(生活科をとおして)

小学校 第2学年

(1)視点とのかかわり 

 本事例は視点2を中心とし,生活科をとおして 個を生かす学級経営に取り組んだものである。生活科 の学習の中で体験的な活動を重視し,自然事 象や社会事象への興味・関心を児童と児童,児童 と教師の心の交流をとおして育むことを願ってい る。

 B教諭は生活科を指導するにあたり,体験の中 で生じる問題を児童の創意工夫を大切にしながら, 解決していくことを基本姿勢に据え実践した。

 以下,「いきものをかおう」の中から 児童と児童,児童と教師のかかわりが見えるいくつかを例 示し,生活科の指導をとおして個を生かす学級経 営をするために・教師がどのような手だてをこう じているのか明らかにしていく。

そこで
○体験的な学習を重視し,児童生徒の学習意 欲を喚起する授業をすすめる。

(2)実践内容 

次の観点を大切にし指導にあたった。 

【1】児童の意見を重視した学習計画作りをする 

 6月,「いきものをかおう」の単元に入る。 

 近くの川に,アメリカザリガニとりに行く 計画を学級全体で話し合う。

 担任のB教諭は,積極的に学習計画作りの段階か ら,児童の意見を取り上げた。これは生活科の特 質から,児童が自然事象や社会事象に能動的に働 きかけなければ,ねらいが達成されないと判断し たためである。

【2】体験不足からくる不安を取り除く 

 ヒルを見つけて騒いでいる児童や怖くて川の中 に入れないでいる児童がいた。

 正しい知識を教え,児童の不安を取り除くため B教諭は自分の子供の頃の体験談を話してやる。 「ヒルは人の血を吸うんだけど,かまれてもそん なに痛くないよ。」 

 また,川に入れない児童には,「大丈夫。手を出 してごらん。」と手を取ってやったりして安心感 を持たせた。

(網でザリガニとりをする)
(網でザリガニとりをする)

【3】活動する前に話し合わせる

 アメリカザリガニをとるのが目的であったが, 子魚やヤゴ,オクマジャクシなども網にかかった。 子魚やヤゴ,オタマジャクシなどは逃がせという 意見と一緒に飼おうという意見が出た。

 B教諭は,子魚やヤゴ,オタマジャクシは「生 きものを飼う」というねらいに合うのか合わない のか,「飼う」ための準備や飼育方法はわかるの かなどを児童が納得できるまで話し合わせ決定さ せた。

【4】飼育の役割分担を決めさせる

 教室でアメリカザリガニを飼育するために必要 な役割を各班ごとに決めさせた。

 係や役割分担を決めさせる上で留意したことは,


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